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2004(平成16) 年度 生存圏科学 萌芽研究 12

更新日: 2017/09/22

研究課題

2004(平成16)年度萌芽ミッションプロジェクト 12
木材保存領域への安定同位体手法導入に関する基礎的研究

研究組織

 代表者 中山友栄 (ミッション専攻研究員)
 共同研究者 剛 (居住圏環境共生分野)
藤川陽子 (原子炉実験施設)

研究概要

本研究は、ホウ素安定同位体比を指標として、環境に存在しているホウ素の環境内挙動を把握することを目指し、薬剤処理過程および市販木材のホウ素安定同位体比を明らかにすることを目的としている。本研究は次の 3 つに大別される。

(1) 薬剤処理過程の同位体分別効果の確認

試料(スギ、ベイツガ、ゴムノキ、モウソウチク)に減圧注入によって薬剤を含浸させて薬剤処理試料の作製を行った。その試料を用いて、処理薬剤、無処理材、処理材、処理材からの溶脱液のホウ素安定同位体比の測定を行った。その結果、ホウ素安定同位体比は薬剤処理過程においては変化しないことを確認した(処理剤の同位体比: 11B/10B=4.085)。一方、無処理材については、微量ではあるがホウ素を含んでおり、その安定同位体比は樹種によって異なっていることが明らかになった。

(2) 流通している材のホウ素濃度および同位体比測定

試料は「木材メーカーの処理材および処理剤」と「量販店で購入した材および木製品」の 2 つに分類される。処理剤のホウ素安定同位体比は天然に存在するホウ素の同位体比(11B/10B=4.044)と同程度であったが、処理材の同位体比はそれより大きい値であった。一方、市販木材中のホウ素濃度を測定したところ、一般的に処理が施されていると考えられるゴムノキおよびタケについても微量のホウ素が確認されたに過ぎなかった。この場合、ホウ素は各材の微量成分であると考えられるが、ほとんどすべてが天然の存在比よりも大きな値(天然存在比よりも 11B が多い)を示し、試料によって異なる値を示すことが明らかになった。

(3) ホウ素の土壌吸着

2 段階のホウ素濃度 (100 ppm, 1 ppm) について 5 種の土壌による吸着量を ICP 発光分光分析装置によって測定したところ、振とう後の濃度はわずかに低下したに過ぎなかった。

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