概要
コンドロイチン硫酸、ペクチン、キチン、キシラン、シクロデキストリンなどの多糖は、持続可能な資源として我々人類が活用している材料である。これらの多糖について、材料や創薬といった多面的な観点から、それぞれの分野の第一人者である研究者らが最新の研究成果を報告した。
目的と具体的な内容
【目的】
多糖は、太陽の恵みを受けて地球上で大量に生産・利用・分解・循環されており、人類にとって必須の食料資源・生活資源・産業資源・創薬資源・エネルギー資源として役立っている。そのため、資源としての多糖をいかに有効に活用していくか、また多糖に秘められている多様な機能をいかに探究していくかは、学術的にも産業的にもとても重要である。本フォーラムでは、「食糧、材料、創薬」という異なった多彩な多糖分野の課題に取り組む研究者が専門の枠や産業の枠を超えて、地球規模の問題や人類生存の課題について、最新の研究動向ならびに意見交換の場を提供することを目的として開催した。
【具体的な内容】
セルロースやデンプンに代表される多糖は、太陽の恵みを受けて地球上で持続的に生産・利用・分解・循環されており、人類の生存にとって必須の食料資源・生活資源・産業資源・創薬資源・エネルギー資源である。「多糖の未来フォーラム」は、日本化学会(糖鎖化学研究会)、日本応用糖質科学会、セルロース学会、日本キチン・キトサン学会、シクロデキストリン学会が結集して平成18年(2006年)に発足した多糖の利用について議論するフォーラムである。
今回のフォーラムでは多岐にわたる多糖分野の研究をさらに発展させるべく、「多糖ポリイオンコンプレックスの機能性フィルムとしての利用」、「植物細胞壁多糖ペクチンの生合成・機能、キチンオリゴ糖の自己組織化による高次構造形成」、「糖質関連タンパク質研究から見えてきた植物病原菌の感染と植物の生体防御の分子機構」、「シクロデキストリンにおける方位選択的反応の開発」、および「鳥取県の未利用生物資源「キチンナノファイバー」を活用した社会実装の取り組み」に関する最新の話題を取り上げ、多糖の面白さを分かりやすくアピールするとともに、多糖の機能と利用を通じて、人類のこころ豊かな生存と、より良い地球環境の構築を実現するための可能性を多面的に議論した。また、産官学の研究者や学生が多数参加し、それぞれの専門の垣根を超えた議論を行うことで、異分野の知見が混ざり合い、参加者には新たな知見やアイデアの創造を共有することができた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
【生存圏科学の発展】
「多糖の未来フォーラム」では、持続型社会の構築を目指す生存圏科学と人類の生存に関わる「食糧、材料、創薬」という異なった多彩な多糖分野の課題に取り組む“多糖の科学”を関係づけて議論し、人類のこころ豊かな生存を実現するための可能性を探求することにより、生存圏科学の発展に貢献している。
【関連コミュニティの形成】地球規模の問題や人類の生存に関わる課題に対し、科学者・技術者は専門や業界にとらわれず多角的な視点と多様な発想を軸に意見交換や学術・産業の振興を行うことが求められている。今回のフォーラムでは、産官学から多くの研究者が参加し、それぞれの専門を超えた議論が行われた。異分野の知が混ざり合い、参加者が新しい視点を身につけ新たなアイデアを創出するきっかけになるものと考えている。日本化学会(糖鎖化学研究会)、日本応用糖質科学会、セルロース学会、日本キチン・キトサン学会、シクロデキストリン学会などの関連学会と京都大学生存圏研究所と連携して開催された「第536回生存圏シンポジウム/第18回多糖の未来フォーラム」は、関連分野とのコミュニティ形成に大きく貢献している。
プログラム
13:00-13:10 | 開会の辞 世話人:橋本 渉(京都大学) |
13:10-13:50 | (1) 橋詰 峰雄 (東京理科大学) 多糖ポリイオンコンプレックスの機能性フィルムとしての利用 座長:秋吉 一成(京都大学) |
13:50-14:30 | (2) 石水 毅 (立命館大学) 植物細胞壁多糖ペクチンの生合成・機能 座長:徳安 健(農業・食品産業技術総合研究機構) |
14:30-15:10 | (3) 甲野 裕之 (苫小牧工業高等専門学校) キチンオリゴ糖の自己組織化による高次構造形成 座長:門川 淳一(鹿児島大学) |
15:10-15:25 | 休憩 |
15:25-16:05 | (4) 大沼 貴之 (近畿大学) 糖質関連タンパク質研究から見えてきた植物病原菌の感染と植物の生体防御の分子機構 座長:川田 俊成(京都府立大学) |
16:05-16:45 | (5)袁 德其 (神戸学院大学) シクロデキストリンにおける方位選択的反応の開発 座長:寺尾 啓二(株式会社シクロケム) |
16:45-17:25 | (6)伊福 伸介 (京都大学) 鳥取県の未利用生物資源「キチンナノファイバー」を活用した社会実装の取り組み 座長:岸本 崇生(京都大学) |
17:25-17:35 | 閉会の辞 世話人:徳安 健(農業・食品産業技術総合研究機構) |
17:50-19:30 | 懇親会(京都大学 宇治おうばくプラザ ハイブリッドスペース(予定) |
ポスター
会場風景
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2024年3月22日作成/2025年1月10日更新