概要
附属未来開拓センター・大気圏森林圏相互作用ユニット、ならびに、ミッション1「環境診断・循環機能制御」の活動に深く関連するトピックスとして、温室効果気体の収支や揮発性有機化合物を介した物質変動の研究や、大気圏・森林圏の相互作用に寄与する植物や微生物の機能に関する研究について成果発表や情報交換を行った。異分野の研究者間のコミュニケーションを図った。
目的と具体的な内容
令和4年度発足の附属未来開拓センター・大気圏森林圏相互作用ユニットでは、温室効果気体の収支や揮発性有機化合物を介した物質変動の研究や、大気圏・森林圏の相互作用に寄与する植物や微生物の機能に関する研究を行っている。また、ミッション1「環境診断・循環機能制御」においても、同ユニットの活動に深く関わる研究課題を推進している。本ワークショップでは、大気圏森林圏相互作用ユニットとミッション1の活動に直接関わる研究内容の発表および情報交換を主眼とする。個別の所属学会ではなかなか出会う機会のない「大気」「森林」「土壌微生物」の研究者が一堂に会し、それぞれの領域での先端的な研究を“生存圏の物質循環”という視点に広げでシームレスにとらえることを意識し、次の時代の新しい研究課題の展開を視野に入れた討論を行う。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
所属する学会の異なる大気、森林、土壌の研究者が一堂に会して議論を行うことにより、互いの分野に関する様々な情報を交換することが可能になるとともに、研究活動の視野を広げることができる。今回は、参加者規模を大きくせずに、かつ、十分な質疑応答の時間を確保することにより、突っ込んだ討論を行った。プログラム(次ページ記載)のとおり、本ワークショップの趣旨をよく理解してくださった講演タイトルが並んでおり、当然ながら、講演内容も個別のディシプリンに閉じないような工夫がなされたため、予定していたスケジュールを大幅に超過し、非常に議論や意見交換が盛り上がった。こうしたミーティングを通じて、既存の学問のカテゴリーに捕らわれないような、新しい切り口やベクトルを持つユニークな研究課題の萌芽が期待できると考えている。同時に、本提案のワークショップは、生存圏研究所のミッション1「環境診断・循環機能制御」および附属未来開拓センター・大気圏森林圏相互作用ユニットの活動に関連しており、所外の参加者に対しても、生存圏研究所のアクティビティーを知って頂くことにより、生存圏科学のコミュニティー拡大に貢献できるものと考えている。
プログラム
13:00-13:10 | はじめに 高橋 けんし(京都大学生存圏研究所) |
13:10-13:35 | ケイ素に着目して土壌ー樹木ー大気をつなぐ 中村 亮介(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科) |
13:35-14:00 | 植物が大気に放出するVOCの特徴と種間差 斉藤 拓也(国立環境研究所) |
14:00-14:25 | 土壌から出る温室効果ガスN2Oを削減する微生物の探索 大久保 智司(東北大学大学院生命科学研究科) |
14:25-14:50 | 大気-森林-土壌の炭素循環から見た土壌微生物の代謝能 杉山 暁史 (京都大学生存圏研究所) |
14:50-15:00 | 休憩 |
15:00-15:25 | シカによるササの消失は土壌生態系機能の劣化とブナ衰退を引き起こす:南九州ブナ林にみる環境・土壌・樹木の関係性 片山 歩美(九州大学農学研究院) |
15:25-15:50 | これまで見落とされていた東南アジア大陸域の火災排出量とその傾向 近藤 雅征(広島大学IDEC国際連携機構) |
15:50-16:15 | 葉リターと細根リターの土壌における役どころ 谷川 東子(名古屋大学生命農学研究科) |
16:15-16:40 | 湿地性樹木からメタンが出てくるナゾー土壌と植物と大気が全部関係していますー 高橋 けんし(京都大学生存圏研究所) |
16:40-17:00 | 総合討論 |
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2023年4月5日作成/2023年11月27日更新