概要
第492 回生存圏シンポジウム「STE研究連絡会現象報告会および現象解析ワークショップ(第二回: 磁気圏・電離圏プラズマ、超高層大気変動の相互作用)」は、令和5年3月1日に、Zoomミーティングによるオンラインで開催された。研究集会では、第25太陽活動周期の極大期に向かい活発になっている諸々の宇宙天気現象について多数の発表、議論がおこなわれた。
目的と具体的な内容
本研究集会は、太陽から地球までの現象を一つの宇宙天気現象と捉えるとともに、主に磁気圏・電離圏プラズマ、超高層大気変動の相互作用の観点から、一つの太陽地球系複合システムの流れとして理解することを重要テーマと位置づけて開催された。研究集会では、第25太陽活動周期から3年が経過し、極大期に向け活発になる諸々の宇宙天気現象や、過去の現象解析について多数の講演があった。また、学生による観測機器やデータベースの開発に関する進捗・成果報告も行われた。学部生からシニア、さらには研究職以外の方を含む、様々な専門分野から参加者があり、各々の視点からの活発な議論がおこなわれた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
生存圏の現況を把握するためには、その環境に大きく作用する太陽-地球結合の物理を広く理解する必要がある。本研究集会は、主に太陽地球系全体に関連する複合現象を取りあげ、人工衛星、宇宙ステーション、ロケット、地上レーダー、計算機シミュレーションなど様々な手法を用いて、太陽-地球結合をひとつのシステムとして理解することを目的として開催され、生存圏科学の発展に大きく貢献した。また、ハイブリッドかつ3研究集会との合同集会として開催することで、分野間の接合と活発な議論の場を提供し、関連コミュニティの形成・発展に貢献した。
プログラム
【座長:西谷望(名大ISEE)】 | |
11:00-11:20 | 宇宙天気長期変化の概況報告 〇篠原学(鹿児島工業高等専門学校) |
11:20-11:40 | 期間概況報告 〇阿部修司(九大 i-SPES) |
11:40-12:00 | 地磁気現象概況報告(2022年9月-2023年2月) 〇谷口秀隆(気象庁地磁気観測所) |
(昼休憩 12:00-13:00) | |
【座長 海老原祐輔(京大RISH)】 | |
13:00-13:20 | Report on Equatorial magnetic field variations based on EE-index ( ~ Jan. 2023) 〇阿部修司(九大 i-SPES)、魚住禎司(九大 i-SPES)、藤本晶子(九州工業大学)、吉川顕正 (九大 i-SPES) |
13:20-13:40 | 現象報告期間(2022.09-2023.02)におけるHOP radars/SuperDARN観測報告 ○西谷望(名大ISEE) |
13:40-14:00 | 宇宙線中性子観測データ報告 〇渡邉堯 (NICT)、前田麻代(名大ISEE) |
14:00-14:20 | EUVコロナホールと高速太陽風 ○亘慎一(NICT) |
(休憩 14:20-14:40) | |
【座長:久保勇樹(NICT)】 | |
14:40-15:00 | 長期GNSS-TEC観測データベースを用いた孤立型サブストーム時における電離圏電子密度変動の統計的描像:季節とサブストームの規模依存性 〇新堀淳樹(名大ISEE)・大塚雄一(名大ISEE)・惣宇利卓弥(名大ISEE)・西岡未知(NICT)・Perwitasari Septi (NICT) |
15:00-15:20 | Hayabusa 2 カプセル再突入に伴うVLF電波放射の物理的解釈 ○渡邉堯 (NICT)他 |
15:20-15:40 | ソフトウェアラジオデバイスを用いた電離圏シンチレーション計測器の開発 〇中村駿仁(九州工業大学)、藤本晶子(九州工業大学)、阿部修司(九大 i-SPES) |
15:40-16:00 | MAGDASデータベースを用いた磁場データ解析システムの構築 ○桑元韻(九州大学)、吉川顕正(九大 i-SPES)、阿部修司(九大 i-SPES)、魚住禎司(九大 i-SPES) |
2022年9月15日作成,2023年3月31日更新