概要
本シンポジウムは、生存圏研究所の研究活動の総括として位置づけられている毎年年度末に開催する重要なシンポジウムであり、ハイブリッド開催を行った。今年度は研究所活動報告を行うとともに、生存圏未来開拓研究センターの活動報告に加えて、研究所の重点研究事項をトピック的に取り上げ、報告、議論を進めた。また、生存圏フォーラムの総会の開催及びポスターセッションも実施した。多くの活動や成果報告を交えて総合的な議論等を行い、生存圏科学の発展や関連コミュニティへの形成に貢献できた。
目的と具体的な内容
本シンポジウムは生存圏研究所のここ一年の取り組みや研究活動を広く社会に公開・議論し、研究所の活動を周知するとともに今後の方向性についての意見を広く聴取することを目的としている。
まず、生存圏研究所の今年度の活動について概況報告の後、今年度より設置した生存圏未来開拓センターの現在の活動を報告した。続いて、研究所の重点研究とかかわり深い研究トピックとして、「生存圏科学と科学技術・イノベーション」、「生存圏科学の国際展開」、「レーダーによる大気リモートセンシング、その現状と未来」を取り上げ、研究所の活動とともに関連の所外の研究者にも情報提供いただいた。そして、共同利用・共同研究拠点について、最新の活動を報告した。最後に生存圏研究所の国際的な活動の概況とともにアジアリサーチノードについての成果を報告した。なお、フラッグシップ共同研究と生存圏科学共同研究についてはポスター発表とし、個別研究課題の議論の機会をつくり深めるとともにシンポジウムの一環として生存圏フォーラムの総会を開催し、生存圏科学の更なる発展に寄与する体制についても確認した。
なお、本シンポジウムは今年度はzoomを用いたオンラインときはだホールでのリアルのハイブリッド開催で2日間に分けて行った。ポスター発表ではzoomのブレイクアウトルームを用いて行い、所内教員、ミッション専攻研究員、学内・学外研究者、さらに、生存圏科学を学ぶ学生が直接交流できる場を提供した。また、2日目に生存圏フォーラム総会もハイブリッドで開催した。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本年度の生存圏ミッションシンポジウムの参加者は、初日Zoom60名、現地45名、計105名、2日目Zoom64名、現地39名、計208名であった。本シンポジウムが生存圏研究所の1年間の全活動の総括であるという認識が醸成されてきていると思われる。また、一昨年度同様、生存圏フォーラムの総会は、参加者の増加だけでなく、各研究者の議論の活性化や異分野交流に関して意義があった。全体を通して本シンポジウムは、萌芽・学際的な研究の発掘、将来的な生存圏科学の発展や関連コミュニティへの形成等に大きく貢献できたと考えられる。
プログラム概要
1日目 3月6日(月)
10:00-10:10 | 所長挨拶 山本衛(京都大学生存圏研究所) |
10:10-10:40 | 研究ミッション 活動紹介 篠原真毅 (京都大学生存圏研究所) |
10:40-12:00 | 未来開拓研究センター 活動報告 桑島修一郎、他(京都大学生存圏研究所) |
休憩 | |
セッション1「生存圏科学と科学技術・イノベーション」 | |
13:00 | はじめに 桑島修一郎(京都大学生存圏研究所) |
13:00-13:30 | 「大規模研究所におけるイノベーションマネジメント」 斉藤卓也氏(理化学研究所 経営企画部) |
13:30-14:00 | 「企業を中心とするイノベーション創出と調査研究の課題」 小沼良直氏(公益財団法人未来工学研究所) |
14:00-14:15 | 総合討論 |
セッション2「生存圏科学の国際展開 -植物バイオマス利用研究における国際共同と国際連携-」 | |
14:15-14:30 | はじめに:趣旨説明と生存研における国際共同バイオマス研究の紹介 飛松裕基(京都大学生存圏研究所) |
14:30-14:55 | リグノセルロースバイオマスの持続的生産利用に関する国際協同研究 梅澤俊明(京都大学生存圏研究所) |
14:55-15:20 |
理研環境資源科学研究センターの国際共同研究の紹介 ー天然ゴムの持続的生産を通じた国際連携研究を中心にー |
15:20-15:30 | 総合討論 |
休憩 | |
セッション3「レーダーによる大気リモートセンシング、その現状と未来」 | |
15:40 | はじめに 山本衛(京都大学生存圏研究所) |
15:40-16:00 | 「MUレーダー/赤道大気レーダーの現状と未来」 橋口浩之(京都大学生存圏研究所) |
16:00-16:15 | 「MUレーダーと赤道大気レーダーによる電離圏観測」 横山竜宏(京都大学生存圏研究所) |
16:15-16:35 | 「EISCAT_3Dレーダー計画の現状と展望」 小川泰信氏(国立極地研究所 先端的レーダー研究推進センター) |
16:35-16:55 | 「MFレーダーを用いた流星エコー観測の新展開」 堤雅基氏(国立極地研究所) |
2日目 3月7日(火)
10:00-10:30 | 共同利用共同研究活動報告 橋口浩之(京都大学生存圏研究所) |
10:30-11:00 | 生存研国際活動&アジアリサーチノード成果報告 梅澤俊明(京都大学生存圏研究所) |
11:00-12:00 | 共同研究ポスター発表 (zoom ブレイクアウトルームでの個別発表) フラッグシップ共同研究 5件 生存圏科学共同研究 15件 ミッション専攻研究員 3件 |
休憩 | |
13:00-13:30 | 生存圏フォーラム総会 |
共同研究ポスター発表
第490回生存圏シンポジウム 生存圏ミッションシンポジウム ポスター発表
3月7日(火)11:00-12:00 zoom ブレイクアウトルームにて開催)
生存圏フラッグシップ共同研究成果報告
1 梅澤俊明(京都大学 生存圏研究所)
「熱帯植物バイオマスの持続的生産利用に関する総合的共同研究」
2 篠原真毅(京都大学 生存圏研究所)
「マイクロ波応用によるエネルギーの輸送・物質変換共同研究」
3 矢野浩之(京都大学 生存圏研究所)
「バイオナノマテリアル共同研究」
4 大村善治(京都大学 生存圏研究所)
「宇宙生存圏におけるエネルギー輸送過程に関する共同研究」
5 山本 衛(京都大学 生存圏研究所)
「赤道ファウンテン」
生存圏科学共同研究成果報告
6 Daniel EPRON(京都大学 農学研究科)
「Methane budget of a complex mountainous forest: look up and down.」
7 浅井 歩(京都大学 理学研究科)
「長期太陽黒点観測スケッチのデジタル画像データベースの構築」
8 上田義勝(京都大学 生存圏研究所)
「誘電率計測による微細気泡水の特性解析」
9 梅澤俊明(京都大学 生存圏研究所)
「熱帯荒廃草原におけるイネ科バイオマス資源の持続的生産に基づく炭素隔離」
10 梶川翔平(電気通信大学)
「マルチスケール構造を考慮した木材の大変形挙動に関する数値シミュレーション手法の開発」
11 肥塚崇男(山口大学 創成科学研究科)
「合理的代謝フロースイッチングによる芳香族生理活性物質の生産」
12 高橋克幸(岩手大学 理工学部)
「水中プラズマとファインバブルの組み合わせによる水処理技術の開発」
13 谷垣 実(京都大学 複合原子力科学研究所)
「プロジェクションマッピングを適用した環境放射能の歩行サーベイ計測」
14 徳田陽明(滋賀大学 教育学部)
「第一原理計算を用いた固液界面及び気液界面の静電ポテンシャル解析」
15 中島英彰(国立環境研究所)
「紫外線計測データに基づく母体と赤ちゃんのビタミンD生成量の推定と血中ビタミンD濃度との関係に関する研究」
16 二瓶直登(福島大学 食農学類)
「セシウム蓄積に関わるダイズのイオノーム解析」
17 濱本昌一郎(東京大学 農学生命科学研究科)
「マイクロ間隙流路を用いたコロイド粒子挙動に関する研究」
18 藤原正智(北海道大学 地球環境科学研究院)
「アジア圏界面エアロゾル層(ATAL)の影響研究:2003~2021年夏季の日本でのライダー連続観測に基づいて」
19 松岡 健(九州大学 農学研究院)
「国内産カラスビシャク系統から調製した生薬半夏と中国産市販半夏中の低分子成分の比較解析」
20 山村正臣(徳島大学 社会産業理工学研究部)
「心材ノルリグナン類の生合成遺伝子の同定」
ミッション専攻研究員成果報告
21 Megha Mahendra Pandya
「Evolution and possible interactions of the electron zebra stripes in the Earth’s inner magnetosphere」
22 氏原秀樹
「万能アンテナの開発」
23 草野博彰
「酵母を用いた植物由来抗がん薬パクリタキセル生合成のカスタムデザイン」
シンポジウムポスター PDF ファイル(257,793 バイト)
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2022年9月15日作成,2023年3月31日更新