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第481回生存圏シンポジウム
バイオナノマテリアルシンポジウム2022(バイオナノマテリアル製造評価システム2022年度報告会)

更新日: 2022/11/18

開催日時 2022(令和4)年10月27日(木)13:00–17:10
開催場所 京都大学生存圏研究所木質ホール3階およびオンライン配信(Zoom)
主催者 京都大学バイオナノマテリアル共同研究拠点(経済産業省Jイノベ拠点)
ナノセルロースジャパン(NCJ)
申請代表者 矢野浩之 (京都大学生存圏研究所生物機能材料分野)
関連ミッション ミッション4 循環材料・環境共生システム
ミッション5 高品位生存圏
関連分野 製紙、化学、高分子、木材・木質材料、成形加工、食品、繊維、エレクトロニクス、自動車、家電、住宅、流通に関わる分野。

Webサイト: https://sites.google.com/kyoto-u.ac.jp/bionanomaterial2022

概要

国内の大学におけるセルロースおよびその類似多糖の研究の第一人者が集い、多くの参加者が関心を寄せているバイオナノマテリアルの社会実装に向けた最近の技術、取り組みについての研究を紹介した。

目的と具体的な内容

温室効果ガスゼロエミッションは、人類が生存を賭けて取り組む喫緊の課題である。大気中の二酸化炭素を吸収して生産される植物バイオマス資源は、持続可能なカーボンニュートラル素材として自動車産業、家電産業、化学産業を始めとする様々な分野から高い関心が集まっている。

樹木やタケの細胞、カニやエビの外殻、カイコが紡ぐ蚕糸は、人類の知恵をはるかに越えて作り出されている精緻なナノ構造とそれに由来する機能を有している。しかし、そのことは限られたコミュニティで知られているだけである。ナノ構造を有するバイオ素材、バイオナノマテリアルの最前線で活躍している大学研究者の活動が産業界や異なる材料分野で広く知られているとはいえない。そこで高性能のセルロースナノファイバーやナノクリスタル、キチンナノファイバー等から構築されているバイオナノマテリアルに関する研究が、今、どのような方向に向かい、展開しているのか、昨年に引き続き、時代を先導する研究グループや研究者が最もホットな話題、研究成果を発表する機会を作った。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

持続型資源に基づく大型産業資材として、ナノセルロース材料の製造や利用に興味を持つ、産官学の幅広い分野からの参加者があった。特に、産業界からの参加者が約8割を占め、分野も製紙産業、化学産業、繊維産業、住宅資材産業、食品産業、成形加工業、エレクトロニクスデバイス関連、商社など多岐にわたっていた。

1200名近い参加登録があるなど、各方面からの注目度の高さが伺われ、本生存圏シンポジウムが、生存圏フラッグシップ共同研究として進めているバイオナノマテリアル関連のコミュニティ形成に大きく貢献していることがわかる。

プログラム

13:00 趣旨説明/京都大学生存圏研究所 矢野浩之
13:10 14:15 セッション1

  • ナノセルロースによる乳化と複合材料への展開
    藤澤秀次(Shuji FUJISAWA)/東京大学大学院農学生命科学研究科生物材料科学専攻
    ナノセルロースで安定化したエマルションの構造を鋳型にした複合材料を調製した。本手法により得られるフィルム、多孔体および粒子の構造と物性について発表する。
  • 表面修飾セルロースナノウィスカーを用いた固体表面の機能化
    荒木潤(Jun ARAKI)/信州大学繊維学部化学・材料学科
    表面に官能基を導入したセルロースナノウィスカー懸濁液をインクとして塗布するだけで固体表面に消臭能などの機能性を付与するという、新規な表面機能化法を紹介する。
  • セルロース利用研究におけるデータ解析・機械学習の活用
    寺本好邦(Yoshikuni TERAMOTO)/京都大学大学院農学研究科森林科学専攻
    Pythonによるスペクトルのモデル化,複合材料設計,CNF/有機物の相性評価などの例から,セルロース利用にまつわる経験・勘を形式知化できる可能性を共有したい。
  • 質疑応答: セッション1
14:15 休憩
14:25 15:50 セッション2

  • バイオナノマテリアルの半導体機能・用途開発
    古賀大尚(Hirotaka KOGA)/大阪大学産業科学研究所自然材料機能化研究分野
    近年、半導体材料の需要が益々高まっている。本発表では、持続生産可能なナノセルロースやナノキチンの半導体化技術と電子デバイス応用に関する最新研究成果を紹介する。
  • 極低温で作動する導電性CNFネットワーク
    矢野浩之(Hiroyuki YANO)/京都大学生存圏研究所生物機能材料分野
    セルロースの結晶弾性率は−260 ℃~+200 ℃の範囲でほぼ一定である。銀鏡反応で導電性を付与したCNFのネットワークは−180 ℃の雰囲気下で変形に比例して導電性が変化する。
  • 食用こおろぎからのキチンナノファイバーの製造とその評価
    伊福伸介(Shinsuke IFUKU)/鳥取大学工学研究科化学・生物応用工学専攻
    キチン原料であるカニの漁獲は減少しており、新たな原料の確保が望まれる。環境に優しいタンパク質として昆虫食がある。こおろぎからナノキチンを製造しカニ殻と比較した。
  • 機械解繊フィブロインナノファイバー補強キトサン繊維の開発
    岡久陽子(Yoko OKAHISA)/京都工芸繊維大学繊維学系バイオベースマテリアル学専攻
    繭の主成分であるフィブロインは機械解繊処理によりナノファイバー(FNF)化し、水中に分散する。キトサン繊維製造時にFNFを添加することで、紡糸性と繊維の物性が向上する。
  • 質疑応答: セッション2
15:50 休憩
16:00 17:05 セッション3

  • 森と海の多糖ナノファイバーで創出する細胞培養基材
    畠山真由美(Mayumi HATAKEYAMA)/九州大学大学院農学研究院環境農学部門
    セルロース(森)とキチン(海)の多糖ナノファイバーで創り出す、細胞外マトリックスの模倣を指向した細胞培養基材、および基材上での細胞培養挙動について発表する。
  • レザーライク木質系素材への挑戦
    足立幸司(Koji ADACHI)/秋田県立大学木材高度加工研究所
    天然皮革、人工皮革に続く第三の皮革として注目される植物性皮革(バイオレザー)への木質資源の活用に向けた取り組みの研究要素や課題を紹介し、将来性を展望する。
  • 木材の物性発現機構の解明に向けて ~放射光を用いた微細構造解析~
    堀山彰亮(Hiroaki HORIYAMA)/京都府立大学大学院生命環境科学研究科
    複雑な構造をもつ木材の理解に向けて、構造-物性相関の研究が重要となる。放射光を用いた木材細胞壁の微細構造解析から見える物性発現機構に関する最新の事例を紹介する。
  • 質疑応答: セッション3
17:05 閉会のあいさつ

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2022年9月14日作成,2022年11月18日更新

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