概要
木の文化と科学20「国産材研究のいま」と題し、ケヤキやスギにおける残留応力の評価やヒノキの標準年輪曲線構築という、昨今素晴らしい進展が見られた研究成果を発表してもらった。
目的と具体的な内容
我々は木の文化と科学に関する研究成果を公開(過去、木の文化と科学を19回開催)することで、海外から伝来した文化や宗教などの影響が強く残る日本の学際的研究分野の研究者にとって非常に有益となる情報を共有してきた。第20回を迎える今回の木の文化と科学シンポジウムでは、「国産材研究のいま」と題して、これまで京都大学生存圏研究所生存圏データベース(材鑑調査室)に申請いただいた研究者の中から、特に国産材研究において近年秀でた成果を出されている研究者2名より、ケヤキやスギについての残留応力評価という物性と樹種との関連、あるいはヒノキをもちいた年輪標準曲線構築の成果などについて、zoomによる研究成果の報告を行っていただいた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本研究は、全国共同利用として材鑑調査室を活発に活用して研究をしていただいている東北大および京大生存圏の先生方から、研究成果を発表いただいた。生存圏研究所ではミッション5-4『高品位生存圏』において日本の伝統的な木づかいの科学の解明に向けた包括的な研究に取り組んできている。日本の木の文化には、近隣アジア諸国をはじめとして海外から伝来した文化や宗教などの影響が強く影響しており、これらを新たに理解することで、日本国内の文化の理解にも寄与できるものと考えている。今回の木の文化と科学20では、日本文化の構築になくてはならなかった、スギ・ヒノキ・ケヤキといった樹種について、その内部応力や樹木年輪を用いた標準年輪曲線構築のための研究を発表してもらうことで、建築、文化財、木材科学など様々な領域の研究者らが知見を新たにする機会を得られたことから、貢献度はたかいといえよう。
プログラム
11:00–11:30 | スギとケヤキの残留応力評価 松尾美幸(京都大学生存圏研究所) |
11:30–12:00 | 中部産ヒノキ属の2000年標準年輪曲線構築 大山幹成(東北大学植物園) |
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2021年12月9日作成,2022年3月1日更新