目的と具体的な内容
ミッションシンポジウムは、研究所の1年間の全活動の総括としてのシンポジウムである。生存圏研究所の開放型研究推進部が推進する共同利用・共同研究拠点活動、生存圏学際萌芽研究センターが支援する公募研究(生存圏ミッション研究、生存圏科学萌芽研究)、生存圏フラッグシップ共同研究などの成果を総括する。さらに、本年度の研究ミッション活動の内容や、各ミッション専攻研究院の活動成果を報告する。シンポジウムは2日間に分けて行われ、多くの報告と共に、分野横断的・俯瞰的な立場から生存圏研究所の活動についての議論が行われた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本年度のミッションシンポジウムへの参加者は延べ234名を数えた。これは昨年度の約150名に比べて大きく増加している。これは、本年度から開始された共同利用・共同研究拠点機能強化経費に伴って、研究ミッションの再定義と拡張、生存圏フラッグシップ共同研究などの見直し(拡大)、生存圏アジアリサーチノードの立上げ等があったことに伴う、研究活動の活発化に沿ったものと考えられる。研究所の最近1年間の報告とともに、各共同研究者の成果を交えて総合的な議論ができたことから、将来の生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成に対して大きく貢献することができた。
プログラム
2月23日(木)
10:30–10:40 | 所長挨拶 渡辺隆司(京都大学生存圏研究所・所長) |
生存圏学際萌芽研究センター ミッション専攻研究員成果報告 | |
10:40–11:00 | ミッション専攻研究員1 同位体情報を活用した温帯・亜寒帯・熱帯の森林における群落スケールメタン交換量の変動要因の解明 坂部綾香(ミッション専攻研究員) |
11:00–11:20 | ミッション専攻研究員2 木材の流動成形における高度制御型化学処理手法の開発 田中聡一(ミッション専攻研究員) |
11:20–11:40 | ミッション専攻研究員3 植物バイオマス由来抗ウイルス活性物質の探索 成田亮(ミッション専攻研究員) |
11:40–12:00 | ミッション専攻研究員4 多様な観測データベースを用いた地球大気環境の長期変動に関する研究 新堀淳樹(現:名古屋大学宇宙地球環境研究所) |
12:00–13:00 | 休憩 |
開放型研究推進部 共同利用専門委員会活動報告 | |
13:00–13:20 | MUレーダー(MUR)/赤道大気レーダー(EAR) 委員長:山本衛(京都大学生存圏研究所) 2015年12月に実施した赤道大気観測所における大気観測 鈴木順子(海洋研究開発機構) |
13:20–13:40 | 先端電波科学計算機実験装置(A-KDK) 委員長:大村善治(京都大学生存圏研究所) 地球内部磁気圏での実パラメータを用いたホイッスラーモード・コーラス放射発生過程についての計算機実験 加藤雄人(東北大学 理学研究科) |
13:40–14:00 | マイクロ波エネルギー伝送実験装置(METLAB) 委員長:篠原真毅(京都大学生存圏研究所) 太陽発電衛星のためのフェーズドアレーアンテナを用いた無線送電実験 田中孝治(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所) |
14:00–14:20 | 木質材料実験棟 委員長:五十田博(京都大学生存圏研究所) 住宅床下における銅板等の木材劣化抑制効果の検証 栗崎宏(富山県農林水産総合技術センター 木材研究所) |
14:20–14:30 | 休憩 |
14:30–14:50 | 居住圏劣化生物飼育棟(DOL)/生活・森林圏シミュレーションフィールド(LSF) 委員長:吉村剛(京都大学生存圏研究所) リモナイトのシロアリ類に対する忌避効果 秋野順治(京都工芸繊維大学昆虫先端研究推進センター) |
14:50–15:10 | 持続可能生存圏開拓診断(DASH)/森林バイオマス評価分析システム(FBAS) 委員長:矢崎一史(京都大学生存圏研究所) 樹木の成長とグルタチオン 小川健一(岡山県農林水産総合センター生物科学研究所) |
15:10–15:30 | 先進素材開発解析システム(ADAM) 委員長:渡辺隆司) マイクロ波の非熱照射による新規癌治療法構築のための基礎的研究 浅野麻実子(大阪薬科大学) |
15:30–15:50 | 生存圏データベース 委員長:塩谷雅人(京都大学生存圏研究所) 木材中に残存するDNAの定量評価と樹種識別への適用 渡邊宇外(千葉工業大学先進工学部) |
15:50–16:00 | (2階へ移動) |
16:00–17:00 | 生存圏学際萌芽研究センター 共同研究ポスター発表
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17:00–18:00 | 交流会(ポスター発表) 参加受付:16:30~17:30 ※研究者対象(有料) |
2月24日(金)
生存圏研究所 ミッション活動紹介 | |
09:30–09:50 | ミッション1 環境診断・循環機能制御 (代表)梅澤俊明(京都大学生存圏研究所) |
09:50–10:10 | ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用 (代表)三谷友彦(京都大学生存圏研究所) |
10:10–10:30 | ミッション3 宇宙生存環境 (代表)大村善治(京都大学生存圏研究所) |
10:30–10:50 | ミッション4 循環材料・環境共生システム (代表)金山公三(京都大学生存圏研究所) |
ミッション5 高品位生存圏 | |
10:50–11:05 | ミッション5-1 人の健康・環境調和 (サブミッション代表)高橋けんし(京都大学生存圏研究所) |
11:05–11:20 | ミッション5-2 脱化石資源社会の構築 (サブミッション代表)飛松裕基(京都大学生存圏研究所) |
11:20–11:35 | ミッション5-3 生活情報のための宇宙インフラ (サブミッション代表)山川宏(京都大学生存圏研究所) |
11:35–11:50 | ミッション5-4 木づかいの科学による社会貢献 (サブミッション代表)杉山淳司(京都大学生存圏研究所) |
11:50–12:10 | アジアリサーチノード 生存圏アジアリサーチノード 津田敏隆(京都大学生存圏研究所) |
12:10–13:00 | 休憩 |
生存圏研究所 フラッグシップ成果報告 | |
13:00–13:20 | 熱帯植物バイオマスの持続的生産利用に関する総合的共同研究 梅澤俊明(京都大学生存圏研究所) |
13:20–13:40 | マイクロ波応用によるエネルギーの輸送・物質変換共同研究 篠原真毅(京都大学生存圏研究所) |
13:40–14:00 | バイオナノマテリアル共同研究 矢野浩之(京都大学生存圏研究所) |
14:00–14:20 | 宇宙生存圏におけるエネルギー輸送過程に関する共同研究 大村善治(京都大学生存圏研究所) |
14:20–14:40 | 赤道ファウンテン 津田敏隆(京都大学生存圏研究所) |
ポスター発表 (2月23日) 題目および発表者一覧
数字:ポスター番号
生存圏科学萌芽研究 成果報告
- 「Global genetic database for the widespread invasive alien species:
invasive ants as example – 1」
Chin-Cheng Yang(京都大学生存圏研究所) - 「癌幹細胞に対するマイクロ波非熱照射の影響」
浅野麻実子(大阪薬科大学薬学部) - 「食品利用を見据えた食品製造副産物のナノ粉砕技術の開発」
阿部賢太郎(京都大学生存圏研究所) - 「熱帯泥炭湿地林の群落スケールメタンフラックスの解明にむけたレーザーメタン計の活用」
伊藤雅之(京都大学東南アジア研究所) - 「ULF帯電磁イオンサイクロトロン波を対象とした超低雑音ASICチョッパアンプ開発」
尾崎光紀(金沢大学理工研究域) - 「モノリグノールアセチル化酵素を利用したリグニン化学構造の改変」
肥塚崇男(山口大学創成科学研究科) - 「海洋性細菌のリグニン分解酵素による木質バイオマス成分変換機構の理解」
嶋根康弘(海洋研究開発機構海洋生命理工学研究開発センター) - 「カフェイン分泌型輸送体の単離と有用物質生産への応用」
杉山暁史(京都大学生存圏研究所) - 「植物二次代謝産物の生産に関与する環化酵素の機能解析」
高梨功次郎(信州大学山岳科学研究所) - 「炭素安定同位体パルスラベリングを用いた、アラスカ永久凍土地帯における
森林土壌呼吸における樹木由来のCO2放出量の推定 —季節変化に着目して—」
檀浦正子(京都大学地球環境学堂) - 「マイクロ波照射下でのプロトンリレーを用いた、水分解による水素生成の促進」
椿 俊太郎(東京工業大学物質理工学院) - 「土壌における微細気泡の包括的移動機構の解明」
濱本昌一郎(東京大学農学生命科学研究科) - 「水稲におけるセシウム吸収・分配機構の解明」
藤村恵人(農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター) - 「樹木根を介した植物-土壌フィードバックの解明 ~根滲出物の樹種特異性を探る~」
牧田直樹(信州大学理学部) - 「木質バイオマス素材のサブナノ・ナノ・ミクロ構造制御による工業材料化技術の開発」
三木恒久(産業技術総合研究所)
生存圏ミッション研究 成果報告
- 「Genetic assessment of attempted eradication program on invasive ant: fire ant and Argentine ant as examples – 1」
Chin-Cheng Yang(京都大学生存圏研究所) - 「A study of long-term variation in momentum flux in the mesosphere and lower thermosphere, using meteor radar observation data.」
Dennis M.Riggin(GATS Inc.) - 「Sweet or bitter? Examining the taste receptor to perceive microbial compound which induces grooming reflex」
Frederic Marion-Pol(Agroparistec) - 「Study of atmospheric stability variations with EAR-RASS observations」
Halimurrahman(Atmospheric Science Center) - 「International collaborative study on atmospheric turbulence based on simultaneous observations with the MU radar, small unmanned aerial vehicles (UAV), and radiosonde balloons」
Hubert Luce(MIO, Toulon University) - 「Stable Microwave Power Transfer System for Various Operational Conditions」
Qing-Xin Chu(京都大学生存圏研究所) - 「The role of trees in accumulation of particulate matter including 137Cs in Fukushima.」
Stanislaw Gawronski(Warsaw University of Life Sciences) - 「超軽量方向探知アンテナの開発」
石坂圭吾(富山県立大学工学部) - 「歴史文献中のオーロラ及び黒点記録を用いた過去の太陽活動の研究」
磯部洋明(京都大学総合生存学館) - 「IUGONETを通したCa II K 太陽彩層全面画像データベースの公開とそれによる太陽活動長期変動研究」
上野悟(京都大学理学研究科) - 「天然系接着剤を用いた木質系粉末の三次元形状部品成形技術の開発」
梶川翔平(電気通信大学情報理工学研究科) - 「粒子形状制御によるビッチ系炭素繊維選択加熱法の開発」
樫村京一郎(中部大学工学部) - 「イチジク乳液のオミックスと生化学の総合的解析 ~独自な二次代謝機能を中心に~」
北島佐紀人(京都工芸繊維大学) - 「微細気泡水の分子ダイナミクス解析」
小浦節子(千葉工業大学工学部) - 「極域電離大気流出過程に関する波動粒子相互作用の観測」
小嶋浩嗣(京都大学生存圏研究所) - 「多偏波SARデータ解析による早生樹植林地のモニタリング」
小林祥子(玉川大学農学部) - 「船舶搭載GNSSによる水蒸気解析精度向上に関する研究」
小司禎教(気象庁気象研究所) - 「Phytobiome研究でわかる農生態圏の管理体系」
高林純示(京都大学生態学研究センター) - 「海藻資材に含まれる生理活性物質の土壌における機能解析と農業利用」
辻元人(京都府立大学生命環境科学研究科) - 「地殻活動に起因した電磁界の観測研究」
筒井稔(京都産業大学) - 「耐環境変動性を有するマイクロ波エネルギー伝送システムの研究開発」
西川健二郎(鹿児島大学理工学研究科) - 「放射性セシウム(137Cs)/安定セシウム(133Cs)比を用いた土壌や作物の特性評価」
二瓶直登(東京大学農学生命科学研究科) - 「『超高層大気の全球地上観測メタデータデータベース』の機能拡張と国際展開」
能勢正仁(京都大学理学研究科) - 「インドネシア産ウリン材における伐採調達の合法性に関する実態調査と端材の有効利用技術の開発による持続的な木材利用システムの確立」
渕上佑樹(三重大学生物資源学研究科) - 「自由対流圏における新粒子生成過程に関する研究」
三浦和彦(東京理科大学理学部) - 「持続的な熱帯林業プランテーションにむけた生態系管理」
吉村剛(京都大学生存圏研究所) - 「化学工業生産への適用を目指したマイクロ波化学プロセスの研究」
渡辺隆司(京都大学生存圏研究所)
ミッション専攻研究員 成果報告
- 同位体情報を活用した温帯・亜寒帯・熱帯の森林における群落スケールメタン交換量の変動要因の解明
坂部綾香 - 木材の流動成形における高度制御型化学処理手法の開発
田中聡一 - 植物バイオマス由来抗ウイルス活性物質の探索
成田亮 - 多様な観測データベースを用いた地球大気環境の長期変動に関する研究
新堀淳樹
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2016年11月22日作成,2017年4月20日更新