目的と具体的な内容
生存圏研究所の教授として昨年4月から在任されていたサンガ・ンゴイ・カザディ氏が,病気のため6月28日に亡くなられた.サンガ氏は,昭和52年10月ザイール キンシャサ大学大学院理学研究科修士課程を修了された後,昭和58年4月から京都大学に留学され,平成元年3月に理学研究科博士後期課程を修了,学位を取得された.平成2年10月創価大学比較文化研究所アフリカ研究センター専任講師,平成5年4月三重大学教育学部助教授,平成7年4月同教授,平成19年4月立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部・研究科教授を経て,平成26年4月京都大学生存圏研究所教授に就任された.平成26年11月からは同国際高等教育院副教育院長を併任された.
本研究集会では,サンガ氏の研究業績と国際教育の成果について振り返るとともに,生涯のテーマとして取り組んでこられたアフリカと日本の架け橋としての活動(NGOアフリカ村おこし運動およびアフリカ開発研究センターの創設など)について紹介する.
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
サンガ氏は,特に植生と密接に関連した気候・環境動態解明に関する優れた研究業績を挙げている.なかでも人工衛星からのリモートセンシングデータと地理情報システム(GIS)を有効に用いた研究を通して,地球システムにおけるエネルギーや物質循環の統合的な解析をおこなった.こういった切り口・手法について改めて評価し,今後重要性を増す気候・環境動態解明の研究展開につなげることが期待される.また,おもに立命館アジア太平洋大学在任中に実施されたものであるが,開発経済,国際行政,環境管理などの分野でアジア太平洋地域の持続可能な発展に貢献できる高い専門性を有した人材の育成を目的としたプログラムを推進した.こういった国際的な人材育成に関わる活動は,研究所として今後の国際展開を考える上で重要な機能の一つとなる.
生存圏科学を推進するにあたって,エネルギーや物質循環を統合的に解析する手法は今日的であり,サンガ氏の成果を踏まえた新しい研究展開につなげることができる.また,国際的な人材育成もグローバルリーダーを輩出していく上で必須の視点であり,生存圏科学が目指す学際的な学問分野の創成にあたって組織が持つべき基盤となる仕組みといえる.
プログラム
司会:塩谷雅人 | |
13:30–13:40 | 開会の挨拶 津田敏隆(生存圏研究所・所長) |
13:40–13:50 | 挨拶 村中孝史(京都大学国際高等教育院・教育院長) |
13:50–14:20 | サンガさんと熱帯気象 —京大での学生時代を過ごして— 西憲敬(福岡大学理学部・准教授) |
14:20–14:50 | 三重大学 生物資源学部 地球環境気候学研究室での日々 吉川沙耶花(東京工業大学大学院理工学研究科・特別研究員) |
14:50–15:10 | 休憩 |
15:10–15:40 | APUにおけるサンガさんの国際教育 村上健(立命館アジア太平洋大学・事務局長) |
15:40–16:20 | アフリカと日本の懸け橋として 黒川清登(立命館大学経済学部・教授) 下野隆夫(アフリカ開発研究センター・代表) ウスビ・サコ(京都精華大学・教授・人文学部長) 荒木茂(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・教授) |
16:20–16:30 | 閉会にあたって サンガ・カリーナ,サンガ・ナタリー |
一つ前のページへもどる
2015年8月31日作成,2015年12月1日更新