http://www.iugonet.org/meetings/2013-02-27_03-01.html
目的と具体的な内容
生存圏科学の推進においては、分野横断的なアプローチが必要不可欠であり、そのためには地球環境に関する様々な観測データを総合的に解析するしくみが必要である。これまで、国立極地研究所や京都大学生存圏研究所が関わる大学間連携研究(略称: IUGONET)では、超高層大気、太陽、地磁気、気象に関する多様なデータのメタデータデータベースや、効率的な総合解析を行うための解析ソフトウェア等のインフラ(e-infrastructure)整備を行ってきた。
本研究集会では、日本における様々なデータベース開発を行っている研究者とこれらデータシステムを利用している研究者が集い、地球環境科学における分野横断型研究の最新成果、並びに、その研究基盤となるインフラ開発の現状・将来計画などについて意見交換、情報共有を行った。さらに、近年ホットな話題となっているデータサイテーションや著者 ID について、専門家による招待講演を行い議論した。これらは、将来的にデータプロバイダーやデータベース開発者を適切に評価する仕組みとなることが期待される。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本研究集会により、地球環境科学の研究者に、研究に利用可能な観測データや解析ツールなどに関する最新情報を得る機会を提供できた。具体的な例としては、IUGONET が開発したツールを利用することにより、生存圏研究所等が所有するデータの国内外での利活用を促進できることが示された。また、NICT のサイエンスクラウドや WDS (World Data System)、DIAS 等の日本における他のデータ活動グループの情報を得ることができ、今後の研究協力についても議論した。これにより、生存圏科学や関連コミュニティの形成に貢献できたと考えている。
本テーマに関心をもつ研究者情報、すなわち参加者の連絡先等の情報を収集できたので、集会案内や生存圏科学に関する諸資料を送付するなど、今後の共同研究の推進のために活かしていきたいと考えている。特に、2013 年 3 月の WDS 国内小委員会や 5 月の日本地球惑星科学連合大会のセッション開催についても、本研究集会で得た人脈により、効果的に関係者と意見交換をすることができ、主催者である IUGONET の継続的な活動のためにも大きなメリットがあったと考えている。
プログラム
1日目: 2月28日 (木)
13:00–13:05 | 開会の辞 津田敏隆 |
13:05–13:10 | 趣旨説明 谷田貝亜紀代 |
セッション1. (座長: 谷田貝亜紀代) | |
13:10–13:25 | IUGONETプロジェクト 平成24年度成果報告 谷田貝亜紀代 (京大) |
13:25–13:40 | IUGONETメタデータの作成とアーカイブの状況 堀智昭 (名大) |
13:40–14:00 | IUGONETシステムの進捗と今後 阿部修司 (九大) |
14:00–14:20 | IUGONET解析ソフトウェア報告 田中良昌 (極地研) |
14:20–14:40 | 休憩 |
セッション2. (座長: 小山幸伸) | |
14:40–15:10 | 学術情報に関する識別子の動向 (招待講演) 武田英明 (国情研) |
15:10–15:40 | 学術情報のための著者識別子と著者同定 (招待講演) 蔵川圭 (国情研) |
15:40–16:00 | 休憩 |
セッション3. (座長: 堀智昭) | |
16:00–16:20 | 柔軟なデータ基盤のためのデータモデルとインデックスフリーなアクセス方法 池田大輔 (九大) |
16:20–16:40 | ICSU-WDS、および日本の科学データシステムを考える 村山泰啓 (NICT) |
16:40–17:00 | 異分野科学データベースの横断的利活用技術 是津耕司 (NICT) |
17:00 | 1日目終了 |
2日目: 3月1日 (金)
セッション4. (座長: 阿部修司) | |
09:00–09:20 | 超高層物理学分野における観測データのメタデータDBと著者IDの連携に関する調査 小山幸伸 (京大) |
09:20–09:40 | NICTサイエンスクラウドの現状とこれからの計画 村田健史 (NICT) |
09:40–10:00 | データ統合解析システム(DIAS)におけるメタデータ 絹谷弘子 (東大) |
10:00–10:20 | 休憩 |
セッション5. (座長: 田中良昌) | |
10:20–10:40 | 地磁気現象に関わる統計的調査 —日本における巨大地磁気誘導電流の可能性について 源泰拓 (気象庁) |
10:40–11:00 | Possible Solar Wind influence on Geomagnetic Pulsations and Earthquake events Jusoh M. H (九大) |
11:00–11:20 | 太陽画像データに基づく、太陽紫外線放射量の活動周期変動の推定 —第23/24太陽周期極小期の異常な振る舞い— 浅井歩 (京大) |
11:20–11:40 | 地磁気日変化に見られる超高層大気の長期変動について 新堀淳樹 (京大) |
11:40–13:00 | 昼休み |
セッション6. (座長: 新堀淳樹) | |
13:00–13:20 | Characteristics between the equatorial electrojet and neutral wind 阿部修司 (九大) |
13:20–13:40 | Relation between the local equatorial electrojet and global Sq current N. S. A. Hamid (九大) |
13:40–14:00 | 成層圏力学過程を通した太陽活動の地上への影響 小寺邦彦 (名大) |
14:00–14:20 | 力学的な物質輸送を3次元に記述するロスビー波と重力波両者に適用可能な方程式系の導出 木下武也 (NICT) |
14:20–14:40 | 大気環境変動の統計解析システムの開発に関する研究 濵口良太 (京大) |
14:40–15:00 | 休憩 |
セッション7. (座長: 八木学) | |
15:00–15:20 | 低緯度熱圏中性風のサブストーム依存性 堀智昭 (名大) |
15:20–15:40 | オーロラ帯/サブオーロラ帯トラフの時空間変動の研究 石田哲朗 (極地研) |
15:40–16:00 | Coupling of electrons and inertial Alfven waves in the top-side ionosphere Run Shi (九大) |
16:00–16:20 | THEMIS衛星-地上同時観測データを用いた脈動オーロラの研究 佐藤夏雄 (極地研) |
16:20–16:40 | グローバルMHDシミュレーションとSuperDARNから得られる電離圏電位分布の比較 才田聡子 (ROIS) |
16:40 | 2日目終了 |