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第215回生存圏シンポジウム
第2回東日本大震災以後の福島県の現状及び支援の取り組みについて

更新日: 2015/05/22

開催日時 2012/11/30(金曜日) 9:30–17:00
開催場所 京都大学生存圏研究所 木質ホール3階
主催者 京都大学生存圏研究所
申請代表者 上田義勝 (京都大学生存圏研究所宇宙圏航行システム工学分野)
所内担当者 上田義勝 (京都大学生存圏研究所宇宙圏航行システム工学分野) 杉山暁史 (京都大学生存圏研究所森林圏遺伝子統御分野)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
関連分野 生存圏科学、植物科学、放射線計測学、社会学。

場所: 京都大学生存圏研究所 木質ホール3階

共催: 国立大学法人京都大学・一般社団法人国立大学協会

目的と具体的な内容

東日本大震災時の原発事故により、福島県下では広範囲に放射性核種が降り注ぎ、その結果として生活圏及び農業圏に大きな影響が出ており、現状でもまだ解決の糸口が見えない。2011 年度第 191 回生存圏シンポジウムとして「東日本大震災以降の福島県の現状及び支援の取り組みについて」を開催し、福島県で行われている取り組みや京都大学での支援研究を報告し、100 名近い参加者が活発な議論を行った。放射性物質の問題は、生存圏における緊急的、かつ長期的に取り組まなければならない課題である。そのため、2012(平成24)年度も継続してシンポジウムを開催し、福島県の現状と、2012(平成24)年度に行う支援研究の成果についての講演を行った。

福島県環境保全農業課、及び、福島県農業総合センターから、福島県の現状と福島県で行われている水稲、畑作物、野菜、花きに関する研究発表を行った。また、生存圏研究所・化学研究所で行われているナノバブルによるセシウム除去、蛍光X線を利用した蓄積部位の同定に関する報告と、本学原子炉実験所や島根大学、京都女子大学から講師を招待し、幅広い分野の生存圏コミュニティーの研究者による講演を行った。以上の発表を通じて、未曽有の大問題を生存圏科学のコミュニティーで共有し、今後の研究支援・共同研究等により長期的に生存圏科学が復旧・復興に貢献できるよう議論を深める。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

原発事故による放射性物質の拡散により福島県では農林水産業に大きなダメージが与えられた。震災から 1 年半が経過し、福島県の情報は新聞等に報道されることが少なくなりつつあるため、現状や取り組みについて幅広く情報を得ることは困難である。本研究集会を通じて、福島県の担当者が直接、現状、研究状況を広く公開することにより、生存圏科学のコミュニティーに現地の正しい情報を伝えることができた。特に、生存圏科学が目指す安全・安心な社会の構築に向けて、一般市民の放射性物質に対する不安を取り除くことは極めて重要であるが、本研究集会では学外の一般参加者も多く、現状と福島の復興に向けた各種の取り組みを正しく伝えるという役割を果たすことができたと考えられる。

福島県の研究者と京都大学、及び生存圏科学のコミュニティーに属する研究者が直接議論を交わすことにより、今後の共同研究への方向性を確認することができ、生存圏科学が果たす役割をより明確にすることができた。特に、島根大学や京都女子大学等の研究者と福島県の間で新たな共同支援研究が立ち上がったことは生存圏科学の発展に大きく寄与する。また、本研究集会では、時間を大幅に超過した活発な質疑討論があり、生存圏科学のコミュニティーが震災の復旧・復興や原発事故後の安心・安全な社会の構築に向けて果たす役割について、より明確になった。

特記事項

本シンポジウムに関する記事が朝日新聞(2012年11月29日付)に掲載された。

プログラム

09:30–09:40 開会挨拶 (生存圏研究所長 津田敏隆)
09:40–10:10 「福島の農林水産物に対する放射性物質の影響調査と安全を確保する取組について」
福島県環境保全農業課 佐藤清丸、二瓶直登
10:10–10:40 「イネによる放射性セシウム吸収に関する研究」
福島県農業総合センター 藤村恵人
10:40–11:10 「ICRP2007年新勧告の『現存被曝状況』における生活圏改善の方策と課題」
京都女子大学 水野義之
11:10–11:30 総合討論 I
11:30–13:00
13:00–13:30 「福島県内の農地における放射性セシウムの分布と農作物の放射性セシウム低減対策」
福島県農業総合センター 齋藤隆
13:30–13:50 「蛍光X線を用いたダイズのセシウム蓄積部位の検討」
京都大学 杉山暁史 (生存圏研究所)
大阪府立産業技術総合研究所 陰地威史、喜多幸司
京都大学 伊藤嘉昭 (化学研究所)
13:50–14:20 「セシウムを吸収しない安心・安全なイネの作出を目指したセシウム輸送体の探索」
島根大学 秋廣高志
14:20–14:50 「土壌・作物中ストロンチウム90の測定」
京都大学 福谷哲 (原子炉実験所)
14:50–15:05
15:05–15:35 「KURAMAの開発と展開の現状」
京都大学 谷垣実 (原子炉実験所)
15:35–16:05 「徒歩やオートバイによる高精細マッピングのためのKURAMAの最適化」
京都大学 佐藤信浩(原子炉実験所)
16:05–16:25 「農業総合センターとの連携研究について(除染及び農業分野への応用利用)」
京都大学 上田義勝 (生存圏研究所)
京都大学 徳田陽明 (化学研究所)
16:25–16:45 総合討論 II
16:45–17:00 閉会挨拶

 

Symposium-0215   ポスター PDF ファイル (195 370 バイト)

 

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