目的と具体的な内容
木質材料実験棟の共同利用研究における研究成果を発表することで、その利用方法や研究の進め方やグループ作りについての意見交換などを行い、それぞれの研究のさらなる進歩を促すことを目的としている。
2011(平成23)年度に実施された 17 件の木質材料実験棟全国共同利用研究の成果発表会を実施した。発表時間を 15 分と設定していたが、議論などが長くなり、予定していた時間を超過する発表が多く見られた。分野についてはかなり多岐に渡っており、新素材材料や新規木質材料、土の性質、木質構造に利用できる技術への新しい取り組みなどであった。専門分野でない方からの質問などがあり、普段ではないようなやりとりなども見られ、違う視点から意見を伺うという機会になったと思われる。また、本発表会を元にできたグループの話もあり、今後、分野間を超えた融合などについての重要性も感じられた。
総括では、多岐に渡る分野が一堂に会することのおもしろさと発展性、研究の融合の必要性や他分野の研究を理解することの必要性などが挙げられた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
生存圏科学のうち、循環型資源・材料開発のミッション 4 に関すること、エネルギー変換・利用のミッション 2 に関する発表が見られ、木材の使用方法は異なるものの、様々な取り組みが発表されることと分野を超えたディスカッションを行うことで、生存圏科学の発展に寄与したと考える。
また、木質材料や木質構造に関する研究ではすぐに利用・応用できる内容の発表も見られ、企業や様々な木質関係の研究を実施している大学や機関からの参加が見られた。企業の方からの質問は見られなかったが、発表後に話をされている姿などが見られた。より循環材料である木材を有効に利用していくための幅広いコミュニティの形成に貢献できたと考える。
プログラム
司会: 森拓郎 (京都大学生存圏研究所) | |
10:30–10:35 | 開会挨拶 京都大学生存圏研究所木質材料実験棟共同利用委員長小松幸平 |
10:35–10:50 | 木造建物における非構造部材が耐震性能に与える影響に関する研究 清水秀丸 (財団法人建築研究協会) |
10:50–11:05 | 循環資源型住宅に向けたプレファブ土壁工法のための仕口性能評価 北守顕久 (京都大学生存圏研究所) |
11:05–11:20 | 住宅床下への木材劣化生物の侵入生態の把握とその予防に関する基礎的検討 簗瀬佳之 (京都大学大学院農学研究科) |
11:20–11:35 | 強制腐朽処理接合部における残存耐力の定量評価に関する研究 野田康信 (北海道立総合研究機構林産試験場) |
11:35–11:50 | 京都府産木材の有効活用に関する研究 明石浩和 (京都府農林水産技術センター) |
11:50–13:30 | 昼食 |
司会: 北守顕久 (京都大学生存圏研究所) | |
13:30–13:45 | CLT (Cross laminated timber) を用いた中・大規模木造建築物の開発 中谷誠 (宮崎県木材利用技術センター) |
13:45–14:00 | 木質ラーメンフレームと構造用合板を用いた耐力壁を併用した門型フレームの水平加力実験 瀧野敦夫 (大阪大学大学院工学研究科) |
14:00–14:15 | クエン酸利用接着への微量塗布技術の適用とそれを用いた極薄積層材料の開発 山内秀文 (秋田県立大学木材高度加工研究所) |
司会: 野田康信 (北海道立総合研究機構林産試験場) | |
14:15–14:30 | 横引張力を起因とする接合部における破壊のクライテリアの検討 田中圭 (大分大学工学部) |
14:30–14:45 | ファイバー配合軽量土壁の開発と耐力性能評価 鄭基浩 (静岡大学教育学部) |
14:45–15:00 | エネルギーデバイスへの応用を目的とした小角X線散乱および小角電子線散乱を用いた多孔質炭素材料の構造解析 押田京一 (長野工業高等専門学校) |
15:00–15:20 | 休憩 |
司会: 畑俊充 (京都大学生存圏研究所) | |
15:20–15:35 | 木質起源物質の化学修飾と炭素化物への物質変換 木島正志 (筑波大学大学院数理物質学研究科) |
15:35–15:50 | 熱電変換材料の構造解析と物性評価 北川裕之 (島根大学総合理工学部) |
15:50–16:05 | 木質熱処理物のイオン交換性およびその金属錯体の微細構造 本間千晶 (北海道立総合研究機構林産試験場) |
司会: 中谷誠 (宮崎県木材利用技術センター) | |
16:05–16:20 | 木口挿入型接合具を用いた木材接合法の設計法の検討 田中圭 (大分大学工学部) |
16:20–16:35 | LVLを用いたCross-Lapped-Screwed (CLS)Joints型モーメント抵抗接合法の開発 小松幸平 (京都大学生存圏研究所) |
16:35–16:50 | 直交積層圧縮木材板 (Compressed Cross Laminated Plate: CCLP)と圧縮木材ダボを組合わせた接合システムのせん断性能 小松幸平 (京都大学生存圏研究所) |
16:50–17:00 | 総括 梅村研二 (京都大学生存圏研究所) |
17:15–19:15 | 意見交換会 木質ホール3階にて |
ポスター PDF ファイル (3 895 779 バイト) ポスター制作: 森拓郎 (京都大学生存圏研究所) |