目的と具体的な内容
数値シミュレーションは、様々な研究分野において非常に重要な研究手法の一つである。本シンポジウムは、個々の研究課題成果の発表だけでなく、生存圏科学の発展において数値シミュレーションがどのような役割を果たすことができるか、また、生存圏科学の中のどのような分野において数値シミュレーションが求められているかを模索、議論する機会を提供する。これは、生存圏科学の推進という観点からも重要である。
KDK 全国共同利用は宇宙圏・大気圏の電波科学および生存圏科学に関連した大規模計算機実験研究を主体とし、ミッション 1 およびミッション 3 が関連している。専門委員会で公募・採択された研究課題の成果発表の場であり、その他の計算機実験研究の講演も広く受け付けている。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本シンポジウムでは、実証実験の難しい磁気セイルの推力特性の解析、宇宙機にとって脅威となる高エネルギー粒子の生成メカニズムの解明、ミクロからマクロに至る磁気リコネクションのマルチスケール性の解明、宇宙機による電界測定のモデリング、電磁場解析・粒子シミュレーションのための効率の良い並列計算法の開発、雲頂高度データベースの開発、粒子シミュレーションによる磁気圏形成など、宇宙圏・大気圏の電波科学および生存圏科学に関連する発表が 22 件なされた。本シンポジウムは、計算機実験を軸とした生存圏科学に関する研究の成果を発表する場となっており、計算機実験を用いた生存圏科学の発展とその研究コミュニティの形成において中核的な役割を果たしている。
プログラム
2月21日 (口頭発表)
14:20–14:25 | 開会の辞 |
14:25–14:45 | 三宅洋平 Cluster衛星周辺ウェイク構造の数値モデリング |
14:45–15:05 | 小路真史 EMICトリガード放射のシミュレーション |
15:05–15:25 | 蔡東生 Dynamics of the cusp boundaries and particle entry during a Northward IMF period: 3-D PIC large scale simulation |
15:25–15:35 | 休憩 |
15:35–15:55 | 藤本桂三 3Dリコネクションにおける乱流発生機構 |
15:55–16:15 | 近藤光志 磁気リコネクション現象に伴う衝撃波の3次元構造 |
16:15–16:35 | 梅田隆行 OpenMPを用いたソーティングのスレッド並列化 |
16:35–16:45 | 大村善治 次期KDKシステムの紹介 |
2月22日 (口頭発表・ポスター発表)
09:00–09:20 | 加藤雄人 計算機実験と衛星観測による地球内部磁気圏でのホイッスラーモード・ コーラス放射発生過程の研究 |
09:20–09:40 | 清水徹 三次元高速磁気再結合過程の磁気中性線の性質とランダム性 |
10:00–12:00 | ポスターセッション |
ポスター発表
- 中村雅夫
ミニ磁気圏のハイブリッドシミュレーション - 芦田康将
粒子シミュレーションによる磁気セイル宇宙機の推力特性に関する研究 - 梶村好宏
数値シミュレーションを用いた磁気プラズマセイルの推力評価 - 松本正晴
2次元Hybrid-PICシミュレーションによる磁気セイルの推進特性 - 森高外征雄
磁気プラズマセイル開発に向けた全粒子シミュレーション - 疋島充
トリガード放射の振幅・周波数変化に関する計算機実験 - 北原理弘
WPIA計測における統計的不確定性の考察 - 八木耀平
適合格子細分化法を用いたプラズマ粒子シミュレーションコードのプロセス並列手法に関する研究 - 井上雄太
並列分散型HIE-FDTD法による高速過渡解析 - 臼井英之
イオンエンジン搭載宇宙機のプラズマ環境に関する三次元粒子シミュレーション - 西憲敬
雲頂高度データベースの作成およびその熱帯擾乱への適用 - 谷本洋
太陽コロナ三次元磁場計算コードの評価 - 洲濱裕也
地球磁気圏近尾部領域で観測される尾部方向プラズマ流の磁気流体シミュレーション - 今村薫
三次元高速磁気再結合過程の基本特性