目的と具体的な内容
生存圏データベース全国共同利用研究成果発表会を開催し、共同研究の活性化と研究者交流を目的とする。今回は第 3 回にあたり、材鑑調査室関連の「物」のデータベースを利用した 2008、2009(平成20、21)年度の共同研究の発表会とあわせて執行した。
内容的にはすべての生存圏ミッションに関わるが、特に物の共同利用研究に関しては 1 と 4 に深く関連する。データベースに関する研究は、短時間では目標達成がむずかしいこともあって、隔年ごとに成果報告会を開催し、研究内容の重複や、さらなる共同研究の可能性を考える機会となっている。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
共同研究者の内訳は、考古学、文化財保存修復科学、歴史学、植物学、木材科学、年輪年代・気候科学と幅広く、共同利用の方向性を見極める上で重要な会合であり、まさに生存圏データベース科学の方向を議論する場となった。
また、「多様であるが、わかりやすい木材の科学」という印象があるようで、キャンパス際や材鑑室公開に来室された外部の方の参加も比較的多数みられた。我々の研究活動を社会に発信するという意味でも評価できる。
プログラム
13:05 | 挨拶 京都大学 杉山淳司 |
成果報告会 1 (各15分:発表12分/質疑3分) | |
13:15–13:30 | ケヤキ材の経年による材質変化 京都大学 松尾美幸 |
13:30–13:45 | 文化財用材としてのヒノキ科樹種の識別 京都大学 横山操 |
13:45–14:00 | 遺跡出土木材保存研究のための材料確保 京都大学 遠藤利恵 |
14:00–14:15 | 日本古来の天然繊維 京都大学 反町始 |
14:15–14:30 | 関西北陸地域における木質文化財の樹種識別調査 京都大学 田鶴寿弥子 |
14:30–14:45 | 生物多様性に基づく中国産木材の構造的特徴の精査(II) 奈良文化財研究所 伊東隆夫 |
14:45–15:00 | 休憩 |
成果報告会 2 (各15分:発表12分/質疑3分) | |
15:00–15:15 | 藤末鎌初の仏像修復に用いられていた木材と用いた木材 東京芸術大学 矢野健一郎 |
15:15–15:30 | 古代土木工法の敷葉工法に関連する樹種選択性の解明 大阪府文化財センター 山口誠治 |
15:30–15:45 | 民家の発達と使用樹種の変化 武蔵大学 中尾七重 |
15:45–16:00 | 国内大学の木材標本データベースの統合に向けた事前調査 北海道大学 佐野雄三 |
16:00–16:15 | 日本産木材標本採集実習の研究成果 —弥生時代から古墳時代の関東地方におけるイチイガシ資源利用— 森林総合研究所 能城修一 |
16:15–16:30 | 木材から抽出したDNAを用いたアスナロとその変種ヒノキアスナロの分類 —SSRマーカーによるヒノキアスナロの種内変異を中心に— 秋田県立大学 高田克彦 |
ポスター PDF ファイル (654 242 バイト) ポスター制作: 反町始 (京都大学生存圏研究所) |