聴講希望の方は、下記Zoom参加登録用アドレスからご登録ください。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZIlcuGsqTgvH9Yu1Sv6oc-ltPE2KabVFEhy
要旨
窒素は大気中の80%を占める気体である一方、生物においては、タンパク質や核酸の構成元素として、生命にとっては欠くことのできない主要な栄養素でもある。ヒトが摂取する窒素栄養は主にタンパク質として摂るため肉類が食品として重要になるが、家畜の筋肉はその餌となる穀物や牧草から得る窒素から作られている。特にマメ科植物はタンパク含量が非常に高い植物であり、ダイズでは重量換算で40%ものタンパク質を蓄積することができる。その窒素はどこからきているか、というと作物の場合は土壌中の窒素肥料ということになるが、マメ科植物は人為的な施肥とは別に窒素固定能力を有する土壌微生物と共生関係を結び、大気中の窒素を栄養として取り込み、シンク器官である種子にその窒素を運びタンパク質として貯蔵する。これが食物連鎖を介して、草食動物、肉食動物と受け継がれていくため、大気中の窒素を生物界に循環させるところに植物―微生物相互作用が中心的な役割を果たしているのである。
窒素固定菌は、植物との共生関係を確立する際、「契約」として光合成産物の炭素を受け取り、その代わりに大気中のN2を固定して植物に渡す。その際、物質は微生物/植物両方の細胞膜を通り、物質のやり取りをするため、膜を通して物質を輸送する「輸送体」はこの窒素循環をドライブする重要な駆動力になっていると解釈することができる。
本セミナーでは、根粒菌と植物との相互作用プロセスを紹介し、植物に数千種類あると言われる輸送体の中から、我々の研究室でこれまでに解析した輸送体の中から、2種類を例にとって、その生理的な機能や役割について紹介する。
参考文献
1. Takanashi, et al., LjMATE1, a citrate transporter responsible for iron supply to nodule infection zone of Lotus japonicus. Plant Cell Physiol., 54 (4), 585-594 (2013).
2. Takanashi, et al., LjABCB1, an ATP-binding cassette protein specifically induced in uninfected cells of Lotus japonicus nodules, J. Plant Physiol., 169(3), 322-326 (2012).
印刷用PDFファイル(291,979バイト) | ページ先頭へもどる
2024年1月30日作成