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第286回定例オープンセミナー
シロアリに学ぶ木材の利用・加工法

更新日: 2022/09/02

開催日時 2022(令和4)年9月14日(水) 12:30–13:20
開催場所 オンライン(Zoom)
発表者 大村和香子(京都大学生存圏研究所・教授)
関連ミッション ミッション4 循環材料・環境共生システム
ミッション5 高品位生存圏

聴講希望の方は、下記Zoom参加登録用Googleフォーム・アドレスからご登録ください。
https://forms.gle/7hqH86Qu7FAsgYNEA
ご登録ができない方は、ご所属、お名前、連絡先等記してメールにてお問い合わせください。
オープンセミナー事務局: openseminar@rish.kyoto-u.ac.jp
開催日当日午前10時までにご連絡ください。

要旨

木材・木造建築物の大害虫として知られるシロアリは、木材の主成分であるセルロースを、共生微生物の ‘助け’ を借りて消化・分解して資化できる数少ない昆虫の1つである。イエシロアリCoptotermes formosanusやヤマトシロアリReticulitermes speratusでは、リグニン含量が高まった排出物(糞)を、土壌と混ぜて巣や‘蟻道’と呼ばれるトンネル状のシロアリの通り道の構築のために利用している。

シロアリは種類によって、外敵への攻撃方法や巣仲間の保護方法が異なり、これに呼応して兵蟻の頭部や大顎の形状に顕著な特徴が顕れている。このため外部形態によるシロアリ分類には、兵蟻の大顎の形状が有効な区別点となっている。テングシロアリ亜科Nasutitermitinaeに属するタカサゴシロアリNasutitermes takasagoensisは防御物質を発射しやすい形状を呈する。レイビシロアリ科 Kalotermitidae のダイコクシロアリCryptotermes domesticusは、開口部に頭部を詰める防御を行い、物理的に外敵の侵入を阻止する。

一方職蟻の大顎も、シロアリ種ごとの体の大きさや生態に応じて形状や性状が異なる。木材の食痕(食い痕)も種によって特徴があり、これはサイズや形状、動きが異なる大顎=刃物 で切削・加工が行われた結果といえる。大顎は繰り返し木材を削っても耐えうる強靭性を有している。大顎の強靭性は、大顎の表層~歯先に局所的に蓄積している微量金属や、大顎の付け根から歯先に向けて高配向し、かつ多層構造を呈するキチンフィブリルなどに起因すると考えられる。

Seminar-0286_W-Ohmura
図 (擬)職蟻における大顎と体サイズ比較
(左)イエシロアリ(右)ネバダオオシロアリ

今後も木材害虫シロアリの巧みな木材利用・加工法について明らかにしていくことで、豊かな生存圏の構築に貢献する新たな材料開発に繋げていきたい。

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2022年9月2日作成

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