要旨
木は、再生産可能で生産量の多い生物資源であり、循環型社会の実現に重要な資源の一つである。木材が調湿性や吸音性など多くの優れた特性を持つことはよく 知られており、木材の消費拡大のためには、多くの建築物で活用することが必要である。その中には居住空間も含まれる。木質環境がヒトの心と身体に与える影 響に関する研究については、アンケート調査や動物の行動実験などを主として用いてきた。近年、ヒトに対する生理学的なアプローチに関して簡便でありつつ信 頼性を確保できる手法が増えており、木材と居住性に関する研究分野でも成果が蓄積されつつある。
今回のセミナーでは、木材の見た目やにおいを特に取り上げ、誘発される生理的な反応などについて自身の昨年度の研究成果と併せて紹介する。