要旨
地球周辺は磁気圏と呼ばれる地球の固有磁場が勢力を及ぼす領域が存在する.この磁気圏には放射線帯と呼ばれる領域が存在し,広範囲のエネルギーを持ったプラズマ粒子が地球を覆うように補足されている.またこれらのプラズマ粒子は太陽活動に起因する地球磁場の擾乱によって,そのフラックスが増減する様相を見せる.また放射線帯の赤道付近ではコーラス放射と呼ばれるプラズマ電磁波動が生成され,プラズマ粒子と相互作用を起こすことが知られている.コーラス放射は半世紀前から衛星観測・地上観測によってその存在が確認されてきたが.その詳細な発生機構は明らかにされていなかった.しかし,最近のシミュレーション・理論研究を通して,コーラス放射は非線形発展を含んだ波動-粒子相互作用によって生成されることが明らかにされた.
本セミナーでは大規模計算機シミュレーションによって再現されたコーラス放射を紹介し,コーラス放射がもたらす放射線帯粒子フラックスの消失および大気圏への粒子降下について紹介する.