要旨
日本の森林のうち約 1300 万 ha (約 5 割)が天然林、1000 万 ha (約 4 割)が人工林、残りが無立木地などです。ここでの天然林の定義は、“人が植栽したのではない森林” となっています。つまり、このうちの多くは、伐採などで一度は人手がはいり、その後放置されたいわゆる二次林・里山を含んでいます。里山は人手が加わった結果、現在のような特徴(例えば、高い生物多様性など)をもつようになりました。いま里山は大きな変化の中にあります。燃料革命以来 60 年伐採や収奪が行われなくなったのです。その結果、里山二次林は高齢化し、西日本では竹林化しています。このような植生の急速な変化は、森林の作る生態系サービスにどのような影響を与えるのでしょうか。これまでの結果では、複雑な構造をもった森林に較べ、単純化した竹林では水質形成も不安定になるのではないかなどが考えられました。今回は、里山の竹林化に伴う環境や水質形成機能への影響などについてご報告します。