要旨
アフリカの生業牧畜民のほとんどは自然条件が厳しく農耕に適さない地域に暮らしている。干ばつ、家畜の伝染病、掠奪、戦争、政治的・経済的な不安定などさ まざまな不確実性に対応しながら、人々は少なくとも千年以上にわたって牧畜をつづけてきた。本発表では東アフリカ乾燥地域における長期のフィールドワーク にもとづき、牧畜を営む地域の自然環境の特徴と牧畜民の生業戦略を明らかにするとともに、技術優先論にもとづく西洋型の開発の失敗を指摘し、リスクマネジ メントの可能性やそれによる牧畜社会の新たな発展について考えたい。
