概要
令和6年度DOL/LSF共同利用研究について、課題の研究代表者による内容説明を実施した。参加者による質疑応答を通じて建設的な立場から互いの研究についてのディスカッションを行い理解を深めるとともに、LSF試験地における獣害被害および従来の使用者による残材放棄等の現状を共有し、維持管理に関する理解と協力を依頼した。
目的と具体的な内容
本研究集会の目的は、居住圏劣化生物飼育棟(DOL)/生活・森林圏シミュレーションフィールド(LSF)において実施された共同利用研究の成果について報告を行い、参加者相互のディスカッションにより各研究の発展と深化を図ることである。
DOLとLSFは、生存圏研究所の共同利用研究施設の一つとして、木材劣化生物を用いた種々の室内試験の実施及び実験生物の供給、並びに各種木材・木質の野外耐久性試験や生態学的調査研究に供されている。その研究内容は、木質科学、微生物工学、土木工学など多岐にわたっている。
今回は、研究成果について報告会を開催し、互いの研究内容について理解を深めるとともに、研究課題数の推移、国際課題への取り組み、LSFでの獣害の発生と残材等の整理・整頓、解体、廃棄を含めた試験地の維持管理などについても参加者と情報共有を行った。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
DOL/LSF共同利用・共同研究は、木質科学、微生物工学、土木工学などの多くの研究分野にわたっており、本報告会の開催によって異分野との融合による新しい研究テーマの発掘につながることが大きく期待される。
これらの研究分野における新しい融合的研究課題の創成は、まさに生存圏研究所が主導してきた生存圏科学そのものであると言える。特に、ミッション1-環境診断・循環機能制御、およびミッション4-循環材料・環境共生システム、に関係が深い。
今後、専門委員会・国際アドバイザリー委員に研究課題に参加いただくことによって、生存圏科学の国際的認知度の向上に貢献していく予定である。
プログラム
議事次第
午後1時30分 | 開会挨拶/今年度の活動概要の紹介 大村 和香子(京都大学生存圏研究所) |
午後1時40分~3時10分 |
01 環境と調和した木材保存法の開発 研究代表者:京都大学生存圏研究所 大村和香子 02 有機酸処理木材の生物劣化抵抗性 研究代表者:京都府立大学大学院 伊藤 貴文 03 無機塩を促進剤とする熱処理木材の生物劣化抵抗性 研究代表者:京都府立大学大学院 伊藤 貴文 04 保存処理および保存処理と塗装を併用した木質材料の耐久性評価 研究代表者:(地独)北海道道立総合研究機構 伊佐治 信一 05 シロアリ貫通阻止性能を備えたサーキュラーエコノミー対応型造粒材料の開発 研究代表者:京都大学農学研究科 簗瀬 佳之 06 銅系接合具の木材防腐防蟻効果の野外検証試験 研究代表者:富山県・農林水産総合技術センター・木材研究所 栗﨑 宏 |
午後3時10分~3時15分 | 休憩 |
午後3時15分~午後4時45分 |
07 生物劣化を受けた木造接合部の強度性能評価 研究代表者:宮崎県・木材利用技術センター 中谷 誠 08ファンガスセラーに形成された微生物群集構造 研究代表者:高知工科大学理工学群 堀沢 栄 09 温泉成分によるシロアリ忌避効果の検証 研究代表者:大阪公立大学 石山 央樹 10 ⽊表・⽊裏の向きの耐候性への影響 研究代表者:大阪公立大学 石山 央樹 11 CLTの生物劣化における特徴と保存処理の効果 研究代表者:広島大学工学研究科 森 拓郎 12 蟻害を受けた中⼤規模⽊造建築⽤接合部の性能評価 研究代表者:熊本大学工学部 井上 涼 |
午後4時45分 | 総合討論 |
午後5時00分 | 閉会 |
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2024年3月25日作成/2025年2月26日更新