研究課題
スギ伝統林産地「秋田」の土壌が持つカルシウム貯蔵効率
研究組織
| 代表者 | 谷川 東子 (名古屋大学大学院生命農学研究科) |
|---|---|
| 共同研究者 | 杉山 暁史 (京都大学 生存圏研究所) 山下 満 (兵庫県立工業技術センタ-) |
| 関連ミッション |
|
研究概要
「森林は土壌をはぐくむ」と広く信じられているが、多くの人工林では、むしろ交換性カルシウム(Ca)や交換性マグネシウムといった養分が減少し、土壌の酸性化が進んでいる。人工林の永続的な利用は天然林の伐採圧を抑制する上で重要であり、「土壌の酸性化抑制」および「植物の生育」に必須な交換性Caを安定的に維持できる人工林の育成が求められる。
植物は、母岩の風化によって放出されたCaを吸収し、やがて落葉として土壌に還元する。この循環を通じて、土壌酸性を緩和する形態である交換性Caが土壌に蓄積される。スギは、このCaを循環させる能力が高いカルシウムサイクラーであるが、その能力を発揮できるか否かは、土壌の特性に依存する (Tanikawa et al., 2014&2017)。
森林土壌は、「土壌酸性度の指標である交換性アルミニウム濃度」と「土壌酸性度を緩和する土壌塩基濃度(主体は交換性Ca)」の2軸により、「肥沃土壌」と「痩せ土壌」に分類される(図1, Takahashi et al., 2001)。我々は先行して、交換性Caの全Caに占める割合を「Ca貯蔵効率」と定義し、この比が関西・中部地方に広がる一般的なスギ林では、肥沃土壌 (55%) > 痩せ土壌(12% ) であることを示してきた(Tanikawa et al., 2017)。
秋田県のスギ林のように、天然林跡に同じ樹種を長期にわたり植え続けてきた伝統林業地は、スギにとって極めて適した立地条件を備えている可能性が高い。実際、秋田県のスギ林土壌の多くは肥沃土壌に分類される。本研究では、秋田県のスギ林土壌が、一般的な林業地と比べて高いCa貯留効率を有するかを検証する。この目的のため、秋田県の4林分から採取したスギ林土壌表層(0-10cm)、中層(10-20cm)、下層(20-40cm)の各4反復の土壌について、微粉砕などの前処理を施し、蛍光X線法により全Ca濃度を測定し、Ca貯蔵効率の高さを評価する。
引用文献
Takahashi M, Sakata T, Ishizuka K (2001) Chemical characteristics and acid buffering capacity of surface soils in Japanese forests. Water Air Soil Pollut. 130, 727–732.
Tanikawa T, Ito Y, Fukushima S, Yamashita M, Sugiyama A, Mizoguchi T, Okamoto T, Hirano Y (2017) Calcium is cycled tightly in Cryptomeria japonica stands on soils with low acid buffering capacity. Forest Ecology and Management 399, 64–73.
Tanikawa T, Sobue A, Hirano Y (2014) Acidification processes in soils with different acid buffering capacity in Cryptomeria japonica and Chamaecyparis obtusa forests over two decades. Forest Ecology and Management 334, 284-292.
ページ先頭へもどる
2025年8月18日作成


