要旨
はじめに
ホウ素化合物の木材保存剤としての使用量は年々増加の傾向にあり、今後も増加することが予想される。ホウ素は高い安全性を有するが、処理木材から容易に成分が溶脱するという特徴をもっており、廃棄時には環境への流出が懸念される。しかし、生活圏、森林圏、大気圏を包含した水循環全体をターゲットとするホウ素を含む保存剤中の元素の循環に関する研究はほとんど行われていない。そこで、本研究の目的として、処理薬剤に含まれる有効成分としてのホウ素や処理材中のホウ素、処理された木材から溶脱したホウ素などの、安定同位体比を測定し、各段階でどのような同位体比を有するのかと、いうことを明確にすることである。
セミナーの内容
- 現行の木材保存剤の種類 (JIS K1570)
- ホウ酸塩木材保存剤について
↓環境内の挙動を知る手段として、トレーサーとしての安定同位体を利用 - 安定同位体の種類とそれらのもつ情報
- 安定同位体比の表し方
- 同位体分別効果について
- 既往の研究 (水の安定同位体比を用いた水循環について)
- ホウ素の安定同位体比(既往の研究より)
- ホウ素安定同位体比の測定法
- 研究計画