要旨
本発表では、現在、萌芽ミッションプロジェクトに基づいて進めている、火山から放出される水量測定の高精度化を目指した取り組みについて、その研究背景と進捗状況を報告する。
火山から放出される水量を精度よく測定することで、火山噴火を予測するための重要な情報が得られる(例えば、鍵山、第 84 回定例オープンセミナー)。我々が研究フィールドとする阿蘇火山には、東京ドームの 1.5 倍の面積を有する火口湖が存在する(図 1)。 湖は水温 70 ℃、湖水の pH は 0 前後、全周にわたり比高 150 m の断崖に囲まれるなど、極端に厳しい環境にある。その一方、湖面からは、旧型原発 1 基分に相当する膨大な熱が放出されている。その熱を媒介している水蒸気を捉えるため、新たに水温テレメトリー・ブイ(図 2)を開発・設置するとともに、ラマン・ライダーを用いた臨時観測を実施した(図 3)。これら観測結果に基づき、火口湖に関する数値モデルを構築した結果、水温変動を再現することが可能となりつつある(図 4)。
