Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2019(平成31) 年度 生存圏科学 ミッション研究 13

研究課題

火山性ガスの光学遠隔計測技術の開発研究

研究組織

 代表者 椎名達雄(千葉大学大学院工学研究院)
 共同研究者 矢吹正教(京都大学生存圏研究所)
久世宏明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)
小林喬郎(元福井大学工学部)
関連ミッション
  • ミッション1 環境診断・循環機能制御
  • ミッション5 高品位生存圏

研究概要

御嶽山や本白根山の噴火災害では、明瞭な予兆なく噴火が発生し多くの登山者が被災した。火山活動の指標として、地震活動や地殻変動といった物理的な指標が主に使用されているが、火山活動はマグマの脱ガス等により引き起こされるため、揮発成分のモニタリングも火山活動の監視には有用である。これまでの火山性ガス観測では、噴煙中の高濃度の火山性ガス観測に主眼が置かれてきたが、噴火の初期段階をガス成分量の変化から検知するためには、より微量な火山性ガスの検出が行える装置開発が必要となる。

本研究では富士山頂もしくは中腹での火山性ガス(メタン、硫化水素)や温室効果ガス(炭酸ガス)を対象にアクティブな光学遠隔計測を目的とする。これまでの一点での計則ではなく、一定光路上の積分値として柱密度を遠隔で計測する。これによって微量ガスの高感度計測を実現し、一定光路上の時間、空間変化、さらには通年の観測が可能となる。設置する光学遠隔計測の手法として、差分吸収、バイスタティックライダー等を検討する。その実現に向けて、本申請では機器設置環境の把握と計測スキームの検討、及び基礎実験を行う。次年度以降の機器設置に向けた条件の検討と具体的な測定計画の立案を目標とする。

これらの研究によって火山噴火の予知や地球温室効果ガスの高精度測定等の生存圏科学における新たな観測技術の開発を目指している。

具体的研究計画として、富士山頂(富士山気象観測候所)ないし、中腹(太郎坊)観測所での特定ガスの光学遠隔計測を目的にしている。そのため、本申請では、機器設置環境の把握と計画(計測スキーム)ならびに基礎実験を行う。

まず、接触式(吸引式)センサで濃度モニタを現地で行い、時間変化や分布(高度や場所、時間依存)等を調査する。対象とするガスの検討、その濃度範囲、分布等を計測する。

光学計測装置の設置環境や計測条件を確認、電力許容量、機器の防寒対策を現地で視察、調査してまとめる。

基礎実験では、小型のレーザー光源、LED照明並びに反射板を特定光路で設置し、計測光の安定度、受光感度の確認、およびテストデータの取得を試みる。図1に微量ガス測定手法を示す。

これらの実験、調査で得た結果は、共同研究者らと協議を行い、光学遠隔計測装置の具体的な展開のための実験・観測計画スキームを検討し、計測条件の割り出しを行う。図2に富士山頂で行ったメタンガス(CH4)の測定結果(往復光路長56 m)の例を示す。1 mあたり1.25 ppm·mの濃度を長時間計測した結果である。

実験計画の検討では、太郎坊でのライダーによるキャンペーン計測の知見を持つ生存圏担当者(矢吹氏)の意見を参考に、また、山頂の富士山測候所での機器設置のノウハウ、ならびに安定した計測のための工夫について考察する。本研究ではより簡便な機器で対象ガスを絞った光学遠隔計測の実現に向けて調査と準備を進める。

椎名達雄: 2019(令和元)年度生存圏ミッション研究 図 1図1 微量ガス測定手法

椎名達雄: 2019(令和元)年度生存圏ミッション研究 図 2図2 富士山頂でのメタンガス(CH4)の長光路測定結果

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2019年8月19日作成

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