Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2018(平成30) 年度 生存圏科学 ミッション研究 21

研究課題

ダイズGmHAK5ノックダウン系統のセシウム吸収特性の解明

研究組織

 代表者 二瓶直登(東京大学大学院農学生命科学研究科)
 共同研究者 杉山暁史(京都大学生存圏研究所)
上田義勝(京都大学生存圏研究所)
伊藤嘉昭(京都大学化学研究所)
関連ミッション
  • ミッション1 環境診断・循環機能制御

研究概要

東京電力福島第一原発事故により、森林、住宅地と共に農耕地も放射性セシウム(RCs)に汚染され避難指示も出された。事故後7年が経過し、除染作業もすすみ、現在では多くの地域で農業が再開している。ダイズは福島県で第2位の生産面積を占める主要な作物であり、2013年以降基準値(RCs濃度100 Bq/kg)を超過していないが、モニタリング検査によるとRCs濃度は他作物より高い傾向があり、その生産には特段の注意を要する。これまで申請者は共同研究者(杉山、上田、伊藤)と共に、ダイズ子実内のCs分布や時期別のCs吸収から、ダイズ子実のRCs濃度が高い理由を推定した(Nihei et al. 2018, 2017)。

RCs吸収メカニズムについてシロイヌナズナでKを取り込む一部の輸送体(High affinity K trasporter: HAK5)の報告(Qi et al. 2008)を参考に、申請者らもダイズ体内のK含量が低い(K欠乏条件)ほどGmHAK5を発現し、Cs吸収は促進することを確認している。さらに、GmHAK5のノックダウン系統をカリユタカを用いて作成し(北大・山田氏)、昨年度のミッション研究において本系統の一つ(15-2-1)がK欠乏条件でもCs吸収が促進されず、世界で初めてGmHAK5がダイズのCs吸収に関与していることを示した。

申請では、GmHAK5ノックダウン系統の詳細な特性の解明を目的とし、K条件の異なる汚染土壌で栽培した子実のCs濃度や、GmHAK5の機能特性としてCs以外の元素吸収を検討する。ダイズは福島県だけなく、世界的に広く栽培されているため、本申請課題は生存圏全体の問題として世界の食料問題や物質循環へも波及する重要な研究課題の一つである。更に、本申請は東京大学(福島の土壌を用いた栽培、RIを用いたトレーサー試験)、京都大学(遺伝子発現)それぞれの長所を活かした試験を行うことで、大学間連携による研究の相乗効果を発揮し、福島県の農業復興に寄与することが大いに期待されるものである。

二瓶直登: 2018(平成30)年度生存圏ミッション研究 図 1図 1 外観(左;カリユタカ、右;GmHAK5ノックダウン系統)

二瓶直登: 2018(平成30)年度生存圏ミッション研究 図 2図 2 子実(左;カリユタカ、右;GmHAK5ノックダウン系統)

ページ先頭へもどる
2018年7月19日作成

一つ前のページへもどる