Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2018(平成30) 年度 生存圏科学 ミッション研究 18

研究課題

伊自良湖集水域における森林土壌に保持されているイオウ化合物の形態

研究組織

 代表者 谷川東子(森林研究・整備機構森林総合研究所関西支所)
 共同研究者 伊藤嘉昭(京都大学化学研究所)
整(株式会社神戸工業試験場)
満(兵庫県立工業技術センタ-)
矢崎一史(京都大学生存圏研究所)
杉山暁史(京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション1 環境診断・循環機能制御

研究概要

大気の汚染に伴う環境の酸性化および、それがもたらす生存圏への影響は、人類が生態系サービスを享受し続けられるか否かにかかわる重大な関心事である。わが国では収束したかと考えられてきたこの問題は、環境省が陸水モニタリング事業により集水域の酸性化を「伊自良湖集水域」で見出したことで、酸性降下物の長期的影響の顕在化が議論されている。この地域は中京工業地帯の風下に位置し、歴史的に大気中のイオウと窒素の大規模堆積を経験している。長期モニタリング報告書では、土壌に堆積した大気由来イオウが有機態イオウとして取り込まれ、酷暑・豪雨などのきっかけで無機化が起こり、集水域に無機硫酸イオンが流れ込んだことが推察されている(http://www.env.go.jp/press/10971.html)。現在のところ、有機態イオウの土壌における安定性は、未解明のまま残されている。我々は先行研究において、1)伊自良湖集水域土壌には多量のイオウが含まれること(ただしその由来は未解明)、2)工業利用されてきた高分解能2結晶分光分析法を伊自良湖集水域土壌に適応し、含まれるイオウ成分は還元型より酸化型が多いことを示してきた。また別の森林土壌群で、土壌での安定性が高いとされている腐植金属複合体に含まれるイオウ成分の抽出法(湿式分析法)を開発してきた。

そこで、腐植金属複合体に含まれるイオウ成分の抽出法を伊自良湖集水域土壌に適用し、酸化型・還元型イオウ形態の知見と合わせ、当該土壌のイオウは腐植金属複合体に取り込まれて比較的安定して存在しているのか、それとも気候変動などで土壌から放出されるような不安定な形で蓄積しているイオウの割合が多いのかを明らかにすることを本研究の目的とする。またイオウの安定性は土壌酸性度と密接な関係性があるので、2つの代表的な土壌の酸性化指標である交換性アルミニウム含量と交換性塩基含量を計測し、同種・近隣の土壌群との比較により土壌酸性化の程度を評価する。これらにより、包括的に伊自良湖集水域土壌のイオウ成分の安定性を考察する。

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2018年7月27日作成

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