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2014(平成26) 年度 生存圏科学 ミッション研究 23

更新日: 2017/09/19

研究課題

菌根菌がクロマツ実生の生育に及ぼす影響と耐塩性付与機能の解明

研究組織

 代表者 松田陽介 (三重大学生物資源学研究科)
 共同研究者 矢﨑一史 (京都大学生存圏研究所)
高梨功次郎 (京都大学生存圏研究所)
谷川東子 (森林総合研究所関西支所)
関連ミッション
  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)

研究概要

日本の沿岸部分には古くからクロマツやアカマツが植栽されてきた。沿岸地域に成立するマツ類は強風、潮風などの影響を緩和し、居住地、農地の提供を可能にすることから人間生活の幅を広げてきた。しかし、マツ枯れによるマツ類の枯損や 2011 年に起こった東日本大震災による海岸林の消失が海岸林の著しい劣化を招いている。海岸部は塩、乾燥などの過酷な生育環境であり、海岸林の果たす機能をいち早く回復させ、安定的に維持させるためには、植栽されるマツ類の実生の生残や生育を促進させる技術の開発はきわめて重要と考える。

クロマツは本邦の海岸林を構成する主要な樹種であり、その細根部分には土壌真菌類の外生菌根菌(以下、菌根菌)が定着している。この菌はクロマツ細根全体を菌糸で覆う共生体、外生菌根(以下、菌根)を形成する(図 1)。そのため、土壌からの養水分の吸収は実質的に菌根菌を通して行なわれ、菌根形成が実生の生残・成長を左右することを意味する。海岸林再生において、造林学的なアプローチは多くみられるが、樹木の生育基盤である根系、菌根共生系に着目した研究は極めて少ない。

本研究では、菌根共生系における環境耐性付与機能を、細胞レベルから個体レベルの異なるスケールから明らかにすることを目的とする。そのため、クロマツ-Cenococcum geophilum 共生系の構築と、その生物間相互作用における Na イオン輸送と Na 分布の解明を試みる。

松田陽介: 2014(平成26)年度 生存圏ミッション研究図 1. クロマツに形成された細根と外生菌根.
樹木細根には根毛が見られることもあるが(a矢じり)、野外のマツ科、ブナ科の細根は通常、菌根菌により細根表面の全体を覆われている(b矢印).そのため菌根菌が定着すると根毛は見えなくなり、菌糸を伸長させる(c矢じり).
a、cのバーは各1 cm,2 cm.

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2014年7月29日作成

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