Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2014(平成26) 年度 生存圏科学 ミッション研究 3

研究課題

植物のアルカロイドが生態系ネットワークの創成に果たす役割の解明

研究組織

 代表者 大串隆之 (京都大学生態学研究センター)
 共同研究者 矢崎一史 (京都大学生存圏研究所)
崇 (京都大学生態学研究センター)
関連ミッション
  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)

研究概要

生物多様性の保全は、生物資源の持続的利用を可能にする地球環境の再生に不可欠である。一方、生物多様性は、生態系の基盤生物である植物とそれに依存する動物(特に昆虫)が、両者の相互作用を通して形作る生態系ネットワークにより維持されている。この植物と昆虫が作り出す生態系ネットワークは、これまで生物種の形質(特徴)に基づいて研究されてきたが、最近になって、種の形質よりも種内の(遺伝子型および表現型)の変異がより大きな役割を果たしていることが指摘され始めた。植物の環境応答の代表である外敵に対する防衛化学物質は、それを利用する昆虫の個体数や種組成を変える。例えば、食害によって誘導されるアルカロイドには強い毒性があり、その植物を利用できる昆虫は特定のスペシャリストに限られる。つまり、植物個体の形質が生物間相互作用を通して、植物と昆虫による生態系ネットワークを新たに作り出す可能性がある。そこでわれわれは、これらの可能性に基づいて、「植物個体の表現型の変化(可塑性)が、生物間相互作用を改変し、高次の階層である生物群集や生態系にまで波及する」という仮説を導いた。

本研究では、上記仮説の検証により異なる生物学的階層を結ぶ研究アプローチを確立し、生物多様性保全の理論的基盤を与えることを目的とする。具体的には、タバコを対象として、食害により誘導されるニコチンが昆虫群集に対する改変効果と、その変化が再び植物群集に与える(フィードバック)効果を解明する。生物多様性は地球環境の健全性を示す指標であり、生物資源の持続的利用を維持する上で必要不可欠である。この生物多様性を支える生態系ネットワークの創成メカニズムを生態学的な視点から解明する本研究は、生存圏科学が目指す地球再生と生物資源の持続的利用に大きく資するものである。

ページ先頭へもどる
2014年7月15日作成

一つ前のページへもどる