Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2013(平成25) 年度 生存圏科学 ミッション研究 20

研究課題

生体高分子ナノファイバーの食品機能の解明

研究組織

 代表者 松村康生 (京都大学農学研究科)
 共同研究者 史人 (京都大学農学研究科)
松宮健太郎 (京都大学農学研究科)
矢野浩之 (京都大学生存圏研究所)
阿部賢太郎 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

現代人の食に関する嗜好は極めて多様化しており、食感などについても、常に新しいターゲットが模索されている。一方で、食品には、生活習慣病を予防し得るような生理機能が求められている。これら加工面および生理機能面での要求の両方あるいはどちらかを満たすためには、古くから用いられてきた原料素材や成分だけでは対応が難しく、新たな素材が広く求められている。生存圏研究所においては、既に木材やパルプからセルロースナノファイバーを、甲殻類の殻からキチン・キトサンナノファイバーを製造する技術が開発され、様々な用途に応用されているが、食品系への利用はほとんど試みられていなかった。平成23年度、24年度の2年間に渡り、申請者らは、本ミッション研究助成をいただき、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーが、物性改良効果のみならず、腸管免疫にも関係するなど、食品加工素材として優れた特性をもつ可能性を示した。今年度は、これらの成果に基づき、ナノファイバー分散液がもつ嗜好性、すなわち香り立ちや、嚥下の際に求められる物性に関連した研究を行うとともに、腸管における生理機能についてもさらに解明を進めてゆきたい。本研究は大きく二つの部分に分けられる。

I. ナノファイバー分散液の嗜好性に関する研究

香気性成分の放散挙動は共存する物質の影響を受ける。本項目では、ナノファイバー分散液を利用することによりフレーバーリリースを制御できるのかを明らかにする。一方、高齢者に多く見られる嚥下困難者のために、適度な粘度をもち、粒子をまとめることのできる物性改良材が求められている。本項目では、嚥下時を想定したせん断速度下でのナノファイバー分散液の粘度を測定したり、固体粒子を保持したナノファイバー分散液の動的粘弾性測定を行うことによって、ナノファイバーが誤嚥予防食として優れているのか評価を行う。

II. ナノファイバーによる粘膜防御能・腸管環境改善に関する研究

昨今、蔓延している生活習慣病の食物アレルギーや消化管の炎症性疾患では、粘膜組織に存在する樹状細胞などの抗原提示細胞の機能が寛容制御的でなく免疫誘導的であることが指摘されており、その予防や改善には抗原提示細胞の有効な機能制御が望まれている。また、ナノファイバーを経口投与で利用する場合、その安全性を評価する必要がある。本項目では、①ナノファイバーを用いた有用物質デリバリーシステムの開発を行う。キチンナノファイバーをビタミンAの送達系としての可能性を探る。ビタミン欠乏食を与えたマウスに、ビタミンを単独で直接投与した場合とナノファイバー/ビタミン分散液として投与した場合の粘膜組織に存在する免疫細胞の特性を比較する。②腸内細菌叢の変動や改善に与える影響を解析する。マウスにセルロースやキチンのナノファイバーを含む食餌を与えた時に、通常の形態のセルロースやキチンに比べて腸管の細菌叢がどのように変動するのか検証を行う。ナノファイバー/オリゴ糖分散液を経口摂取させることによって有用菌叢を持続的に誘導定着させることができるかについても評価する。

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2013年7月30日作成

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