Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2012(平成24) 年度 生存圏科学 ミッション研究 18

研究課題

天然原材料由来の高分子ナノファイバーの食品機能に関する研究

研究組織

 代表者 松村康生 (京都大学農学研究科)
 共同研究者 史人 (京都大学農学研究科)
松宮健太郎 (京都大学農学研究科)
矢野浩之 (京都大学生存圏研究所)
阿部賢太郎 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

現代人の食に関する嗜好は極めて多様化しており、食感などについても、常に新しいターゲットが模索されている。一方で、食品には、生活習慣病を予防し得るような生理機能が求められている。これら加工面および生理機能面での要求の両方あるいはどちらかを満たすためには、古くから用いられてきた原料素材や成分だけでは対応が難しく、新たな素材が広く求められている。生存圏研究所においては、既に木材やパルプからセルロースナノファイバーを、甲殻類の殻からキチン・キトサンナノファイバーを製造する技術が開発され、様々な用途に応用されているが、食品系への利用はほとんど試みられていなかった。昨年度、申請者らは、本ミッション研究助成をいただき、セルロースナノファイバーが食品加工素材として優れた特性をもつ可能性を示した。このような成果に基づき、今年度は、セルロースナノファイバーに加えて、キチン・キトサンナノファイバーを対象とし、これら高分子ナノファイバーの食品系への応用について引き続き検討を行いたい。さらに、単にこれらナノファイバーの加工素材としての特性だけではなく、腸管における生理機能についても検討を加える予定である。本研究は大きく二つの部分からなる。

I. ナノファイバーの加工機能に関する研究

高齢者用の流動食やスポーツ時の栄養補給のためのゼリー食品の場合、摂取に際して、嚥下のしにくさなど、その物性が問題となることが多い。セルロースナノファイバーやキチン・キトサンナノファイバーが、テクスチャー・モディファイヤーとして、タンパク質のネットワークに働きかけ、そのゾルやゲルの物性を咀嚼・嚥下に適した物性に改変できるのか、検証を行う。

乳化物中の微細な油滴を安定な状態で長く保つことは、加工・貯蔵面で重要であるばかりでなく、その体内での消化性・吸収性にも大きな影響を与える。本研究では、セルロースナノファイバーやキチン・キトサンナノファイバーを用いて調製した乳化物が、様々な加工条件や生理的条件下において安定した状態を保つことができるのか、検討を行う。

II. ナノファイバーの腸管環境及び免疫賦活能に及ぼす影響

マウスにナノファイバーを含む食事を与えた時に、通常の形態のセルロースやキチンに比べて腸管の細菌叢がどのように変動するのか、検証を行う。また、腸管上皮細胞、たとえば CMT-93 細胞をポリカーボネート膜の片面に貼り付けたモデル系(下図)を用いた実験やマウスへの経口投与実験により、ナノファイバーの腸管透過性を検証する。さらに、キトサンナノファイバーが通常の形態のキトサンに比較して、さらに優れた免疫賦活能を有するのか、検討を行う。具体的には、食品中の成分をキャッチして、その刺激をナイーブな T 細胞に伝え、T 細胞の活性化(免疫能賦活化)を促す樹状細胞への作用を中心に解析を進める。

松村康生: 2012(平成24)年度 生存圏ミッション研究

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2012年8月6日作成

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