Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2012(平成24) 年度 生存圏科学 ミッション研究 7

研究課題

間伐材を利用した外壁貼付け方式の新しい耐震補強工法の開発

研究組織

 代表者 川瀬博 (京都大学防災研究所)
 共同研究者 松島信一 (京都大学防災研究所)
三宅英隆 (大阪府木材連合会)
山口秋生 (越井木材株式会社)
小松幸平 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

従来から古い木造住宅の耐震補強は喫緊の課題と言われてきているが、実際にはその施工事例は極めて限られており、多くが放置されているのが現状である。これまでの耐震補強工事では、屋根や天井、外壁、床などの撤去を伴う大掛かりな工事になることが多く、強固な補強は可能なものの、多額の費用と手間を必要とするため、住人が耐震補強工事の必要性を感じたとしても結果的に耐震化が進まないというのが現実である。

そこで我々は、これまでに費用を抑えつつ簡便に耐震補強を行える、間伐材を連結させて壁状にした工法を検開発してきた。この壁柱補強工法は、柱の間に間伐材9本をボルトと金具で連結させつつ充填することにより耐震性を向上させるものである。本工法では家全体の耐震性の向上を図ることもできるが1室のみを補強することにも利用できる。しかし、既存建屋を補強する際に、外壁部においては柱間に埋め込むことは既存部材を慎重に取り除く必要があり、雨仕舞いを考えると施工上の問題が多い。そこで今回外壁部を補強するために、壁柱方式の耐震補強部材を外部から取り付ける工法を考え、その性能を評価するための振動台実験を計画した。本研究により、これまで外壁に取り付けることが困難だった耐震補強部材を簡便に設置できる工法が開発でき、耐震性の低い既存木造家屋の耐震性を著しく向上させることが可能となる。本研究は間伐材を活用するための研究の一環であり、同時に地震災害時にも木材資源を継続利用できるようにするための技術開発プロジェクトである。

本研究では、図 1 に示したような半間の柱間に 3 寸角の間伐材を 9 本並べこみ、その間のせん断力の伝達をラグスクリューボルトとピン部材、および木栓で図る「壁柱工法」を、この図のように柱間に入れるのではなく、直接外壁に貼り付けた場合の耐震性能を確認し、既存フレームとの間に適切なせん断力の伝達が図れるかどうかを検討する。

その目的のため、試験体として 1 構面 1 層 1 スパンの 1 間幅フレーム試験体を作製し、せん断変形方向に加振する。これまでの試験で、面外変形についてはそれが大きくなっても十分追随可能なことが確認されているので試験体費用を抑えるために 1 構面のみの試験体とした。試験体はあらかじめ製作された既存木造フレームを模擬したフレームに対して、後施工により柱―梁―および間伐材からなる壁柱部材をラグスクリューボルトで後付けすることにより製作する。

既存木造フレームの特性が把握されていないと、本工法を付加した場合の耐震性能向上分が評価できないので、実験は 3 回に分けて行う。まず 1 回目は補強しない場合の既存木造フレーム(補強ターゲット部分は三つ割筋違補強モルタル仕上げとする)だけの耐震性能を把握する。 2 回目には同じ既存木造フレームに壁柱補強部材を梁―土台間に取り付けた場合の試験を実施し、補強効果を把握する。 3 回目には既存木造フレームの基礎部にも添え柱は設置したケース(別途土台を併設)の試験を実施し、添え柱の効果を把握する。

川瀬博: 2012(平成24)年度 生存圏ミッション研究図 1: これまでの振動実験で用いた 2 間 1 層試験体

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2012年7月30日作成

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