Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2012(平成24) 年度 生存圏科学 ミッション研究 6

研究課題

天候の影響を受けにくい平面波音源の開発とそれを用いたRASS (Radio Acoustic Sounding System)の運用

研究組織

 代表者 及川靖広 (早稲田大学理工学術院)
 共同研究者 山崎芳男 (早稲田大学理工学術院)
津田敏隆 (京都大学生存圏研究所)
佐藤晋介 (NICT(センシングシステム))
川村誠治 (NICT(センシングシステム))
足立アホロ (気象研究所)
関連ミッション
  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)

研究概要

都市域の境界層(高度約 2 km 以下)では、活発な産業活動によりガス・粒子が盛んに排出されており、その動態を明らかにすることは我々の生活空間の大気質の特性を知るうえで重要である。特に、気温構造は大気の混合・輸送に大きな影響を与えており、特に境界層に現れる逆転層(温度勾配が正に反転する)では乱流による上下混合が抑制され、排出ガス等が地表付近に滞留する原因となっている。境界層における気温・風速の高度分布を連続観測するために各種のリモートセンシング技法が開発されているが、その一つにレーダーと音波発射装置を組み合わせた RASS (Radio Acoustic Sounding System)がある。

RASS は音波発射装置から上空に発射される大音量の音が空中を伝搬する際に起こす屈折率変動をレーダーの散乱体とする。音波面の伝搬速度(音速)をレーダーで観測し、音速と気温の関係から気温プロファイルを求める斬新な計測方法である。しかし、RASS は有力な観測手法であるにもかかわらず、可聴域の大出力の音を使用するため、周囲への騒音問題により民家が少ない山間部でしか運用できない難点があった。

一方、これまで我々は高能率な拡声を目指し、マルチセル型平板スピーカ、コンデンサスピーカ、パラメトリックスピーカ等の電気音響変換器の研究を行なってきた。これらスピーカは平面形状にすることで平面音源を実現することが容易であり、それは指向性が鋭く目的の領域のみに拡声が可能、距離減衰が少なく大きな音圧を出さずとも長距離伝搬が可能である等の特徴がある。特にマルチセル型平板スピーカは均一で明瞭な拡声を目指し教室や講堂等への導入がなされている。

そこで、昨年度、側方放射を抑制できる先端的音波源であるマルチセル型平面スピーカの RASS への活用を試みた。その結果、上空の温度を確認することができ、さらに周囲への音漏れを従来のスピーカシステムに比して改善することができ、平面波音源の有効性を確認することができた。

今回、平面波音源を用いた RASS の運用を目指し、天候などの影響を受けにくい音源の開発とそれを用いた RASS を構築する。さらに風向き等を考慮した音波放射の制御などについても検討を加える。この研究が成功すれば、効率的に必要最小限の音波の放射を行い周囲への騒音問題を削減することが可能となる。市街地における RASS 観測が実現し、都市環境のモニターに画期的な進展が期待される。

及川靖広: 2012(平成24)年度 生存圏ミッション研究 写真平面波音源を用いたRASSの観測実験(気象研究所(つくば)にて)

及川靖広: 2012(平成24)年度 生存圏ミッション研究 図平板スピーカ(6×6)周囲の音圧

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2012年7月25日作成

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