研究課題
1926年–1940年の太陽活動画像データベースの作成
研究組織
代表者 | 北井礼三郎 (京都大学理学研究科) |
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共同研究者 | 林寛生 (京都大学生存圏研究所) 上野悟 (京都大学理学研究科) 浅井歩 (京都大学宇宙総合学研究ユニット) 磯部洋明 (京都大学宇宙総合学研究ユニット) 冨田良雄 (京都大学理学研究科) 五島敏芳 (京都大学総合博物館) 山下俊介 (京都大学総合博物館) 前原裕之 (京都大学理学研究科) |
関連ミッション |
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研究概要
京都大学理学研究科附属天文台では、太陽彩層の全面観測を 1926 年以降継続してきた。この観測は、
- 1926 年アスカニア社製太陽分光写真儀を購入し、シデロスタット望遠鏡で CaIIK 線による彩層全面観測開始
- 1929 年同写真儀を花山天文台に移し、30 cm シーロスタット望遠鏡にて観測継続
- 1941 年同写真儀を生駒山観測所に移し、以降 1969 年まで継続し終了
という経緯をたどった。長期にわたって太陽活動・彩層活動をこのような長い期間観測したものは世界でも稀であり、貴重な一級の資料であるため、我々はこれを活用する策を検討してきた。
資料はすべて写真乾板資料であって既に 90 年近く経過してその劣化が進みつつあり、デジタル化して活用することが急がれる。我々は、この資料の内、飛騨天文台に保管されている 1941–1969 年の期間のものからメタデータの整理をしており、今年度後半からはその乾板データのデジタル化を進め、IUGONET メタデータ・データベースに情報を追加してゆくとともに、一般の研究者が利用しやすいように整備・公開する計画である。これと並行して観測初期の資料調査を行った結果、滋賀県の山本天文台に 1926–1940 年の期間の乾板データが保管されていることが見出された。このデータも併せてデータベース化すれば、11 年太陽活動の 4 サイクル分にもなる資料を活用できることになる。
本申請研究では、上記の資料の内 1926–1940 年期間の乾板資料を整理、画像デジタル化を行い公開することを目標とする。このデジタルデータは、太陽活動・太陽彩層活動を把握する基礎資料ではあるが、彩層活動は太陽からの紫外線放射のプロキシー指標となるものであり、地球上層大気への紫外線放射および地球上層大気加熱問題にとって重要な観測的境界条件を与えるものである。我々のプロジェクトの最終目的は、この太陽活動周期4サイクルにわたる太陽-地球環境の変遷を明らかにすることであり、生存圏科学にとって重要で基礎的な資料となるものと考えられる。本研究は、その初期段階のデータ整備を行うものである。
プロジェクト全体としては、科学的な成果を上げるために 2–3 年の期間を想定している。最終目標は、
- 全乾板資料の調査によるメタデータのデータベース化とその公開
- 全乾板資料のデジタル化とそのデータベース構築
- 太陽活動のムービー製作による長期変動の可視化
- 太陽プラージュ域の面積、輝度の測定
- 太陽コロナ変動と CaIIK 変動との比較研究
- 地球上層大気加熱の長期変動の導出
になる。本研究では、上記の目標に照らした基礎データ整備を主として行う計画である。具体的には
- 乾板資料の総数調査: 滋賀県山本天文台に保管されている乾板資料を調査し、京都大学で撮影された CaIIK 乾板の全容を把握する。飛騨天文台保管分とこれをあわせた形でメタデータ資料を整備・公開する。
- 1926–1940 年の間の太陽活動のデータをデジタル化: 乾板資料をデジタル化し、公開に向けてデータベースを構築する。
- ワークショップ開催を考えている。
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2011年8月3日作成