Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2010(平成22) 年度 生存圏科学 ミッション研究 18

研究課題

直パルス通電加熱による木質バイオマスの選択液化

研究組織

 代表者 本間千晶 (北海道立総合研究機構林産試験場)
 共同研究者 俊充 (京都大学生存圏研究所)
渡辺隆司 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

化石資源の使用を抑え、二酸化炭素の排出問題の解決に向けて、2050 年までに世界全体で CO2 排出量の半減が求められている。低炭素社会実現に向けて、木質バイオマスから有用な基本化学品を開発することは必須である。木質バイオマスの急速熱分解を用いると、粘性をもった液化物が得られることが知られている。本研究では、外部直流に 24 000 Hz の周波数パルスが付与された直パルス通電加熱を適用し、木質バイオマスから有用化学品を含む液化物を得るための熱分解条件を検討する。加熱条件の最適化と触媒の組み合わせにより、化学肥料、塗料、医薬品などの基本化学品を選択的に製造することが可能となる。一方、液化物生産と同時に得られる熱分解残渣は、木質熱処理物・炭化物と同様に処理条件毎に各々異なる機能を有することが期待される。例えば、300~400 ℃付近の温度領域で処理された木質材料は多量の酸性官能基を有し、塩基性ガス吸着材、イオン交換材料としての用途が期待できる。700 ℃以上の温度領域で処理したものは塩基性を示す性質を有し、さらに多孔性、導電性を有する。両者とも農業用資材として使用した場合、土壌物理性改善効果が期待でき、その他にも吸放湿能、油吸着能、電磁波遮蔽能など多くの機能が報告されている。直パルス通電加熱条件の把握により液化物からの化学品生産技術の開発と有用な機能を付与した熱分解残渣の有効活用は、来るべき低炭素社会実現に向けて中心的技術となると考える。

これまで直パルス通電加熱により機能性炭素化物を製造したが、液化による有用化学品生産への応用は、世界でも類がないまったく未開拓の分野である。熱分解残渣に有用性が見いだされた場合、液化物、ガスのコスト低減が期待できるだけでなく、環境浄化資材、産業用資材等としての利用や、土壌改良資材として、農業用、林業用に循環利用、土壌中に貯留することによる、炭素の隔離、地球温暖化防止への貢献など様々な利点が考えられる。本研究では直パルス通電加熱により木質バイオマスから得られた液化物、熱分解残渣を有用物質として活用することを目的とし、直パルス通電加熱の条件が生成物、液化物組成に及ぼす影響、熱分解残渣性状の分析、機能化の検討を行う。

本間千晶: 2010(平成22)年度 生存圏ミッション研究図 1 直パルス通電加熱装置の模式図

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2010年8月3日作成

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