Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2009(平成21) 年度 生存圏科学 ミッション研究 12

研究課題

土壌酵素活性を用いた森林生態系の成立に伴う土壌腐植特性の把握

研究組織

 代表者 徳地直子 (京都大学・フィールド科学教育研究センター)
 共同研究者 服部武文 (京都大学・生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

森林生態系の生態系サービスは、近年木材生産のみを指すのではなく、二酸化炭素の吸収や水質浄化といったより多様なものが期待されている。これらの生態系サービスは、森林生態系のなかで最大のバイオマスをもつ樹木と大気・水・土壌などの環境との間の物質循環によって形成される。従って、森林生態系の生態系サービスを持続的に発揮させるためには、物質循環の理解が欠かせない。このとき、土壌は物質循環の場であると同時に、土壌微生物・土壌酵素を含んだ物質循環の営力となっている。森林土壌がこのように場であり営力であるのは、土壌に含まれる腐植が分解性の異なる複雑な基質であることによる。すなわち、易分解性の基質については微生物の動態を支え、難分解性の基質は短時間でみると場として機能している。例えば昨年度の研究からは、樹木の生育段階によって、場としては土壌の窒素蓄積量が、営力としては窒素循環速度が、それぞれ異なっていることが示された。

このことは、森林の生育段階によって土壌腐植にも違いがあることを示唆している。土壌腐植の生成には非常に長い時間(数百~千年)が必要であると考えられているが、上記の研究からは樹木の 1 世代内(100 年程度)での変化が示された。そこで、本研究では、比較的短い時間スケール(100 年程度)での、森林の成立に伴う土壌腐植の変化を明らかにすることを目的とする。この研究によって、森林の伐採施業などに関して、従来の木材生産性だけからではなく、土壌腐植の変化の面からも最適な伐期の提案が可能になると考えられる。土壌腐植は生態系サービスの供給に関わる非常に重要な場であり、この研究から持続的な生態系サービスの供給を目的とした森林施業についての考察を発展させることができるものと期待される。

徳地直子 2009-12図 異なる林齢の森林生態系
地上部だけの違いではなく、窒素循環機構にも違いがみられ、土壌の違いが示唆されている。

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2009年10月27日作成

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