Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2009(平成21) 年度 生存圏科学 ミッション研究 11

研究課題

アミノ酸窒素同位体比指標を用いた土壌動物群集の食物網構造推定

研究組織

 代表者 陀安一郎 (京都大学・生態学研究センター)
 共同研究者 角田邦夫 (京都大学・生存圏研究所)
剛 (京都大学・生存圏研究所)
長谷川尚志 (京都大学・生態学研究センター)
関連ミッション
  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

土壌動物群集の食物網を推定するために、野外での長期的な食性を反映するという長所をもつ窒素・炭素安定同位体比が用いられている。しかし他の生態系と異なり、土壌動物群集においては一次消費者の利用する資源が、有機物の分解の程度に応じた多様性をもつ。そのため、それらの安定同位体比は連続的な変化を示し、生物組織(バルク)の安定同位体比の測定には不明瞭さが残っている。そこで本研究では、近年生態学分野でも用いられ始めたアミノ酸窒素安定同位体指標から土壌動物の食物網推定を試みる。

従来のバルクの窒素・炭素安定同位体比は、対象原子の関わる生化学反応を総合的に反映するため、その値を決定する機構は極めて複雑である。これに対しアミノ酸窒素安定同位体比は、生物体内の各アミノ酸種の安定同位体比を用いておりその機構は代謝経路そのものであるため、より明確であると考えられる。またアミノ酸ごとに生物?利用資源間での値の関係性が異なるため、食物網構造推定において多元的な情報を得ることが出来る。したがって、食物網内での消費者-生産者間の関係性をより高い解像度で表わす指標となることが示唆されている。

さらに今回扱う土壌系の複雑さは主に一次資源となる有機物の分解過程に因るが、菌や細菌はアミノ酸合成に優れており、そのことが動物群集内の栄養段階の基盤となる種に特徴的に表れ、新知見が得られることも考えられる。

現在、土壌動物相のアミノ酸窒素安定同位体比を用いた研究が報告された例は世界的に見ても皆無である。我々はシロアリを材料に予備的なデータを得ているが、指標としての応用にはデータ蓄積が不十分である。したがって、本研究では指標としての信頼性が既知である従来の同位体手法と併用することで、土壌食物網研究について新たな手法の開発を目指す。

陀安一郎 2009-11

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2009年9月15日作成

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