研究課題
熱帯アカシアの分子育種
研究組織
代表者 | 梅澤俊明 (京都大学・生存圏研究所) |
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共同研究者 | 林隆久 (京都大学・生存圏研究所) 海田るみ (京都大学・生存圏研究所) 馬場啓一 (京都大学・生存圏研究所) Sri Hartati (LIPI バイオテクノロジー研究所) 服部武文 (京都大学・生存圏研究所) 鈴木史朗 (京都大学・生存基盤科学研究ユニット) Md. Mahabubur Rahman (京都大学・生存圏研究所) 柴田大輔 (かずさ DNA 研究所) |
関連ミッション |
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研究概要
生存圏研究所インターミッションであるアカシアプロジェクトの中で進められていたバイオテクノロジーに近い研究グループ(林と梅澤)が本ミッション研究に申請する。
インドネシアでは、広大な土地にアカシアマンギウムやアカシアクラシカルパが植林されている。これらは、現在紙パルプ原料のために生産されている。しかしながら、化石資源の燃焼に基づく大気中二酸化炭素濃度の上昇、地球温暖化、石油の埋蔵量の減少に由来した原油価格の上昇らと相まって植物由来のバイオフュエルが利用され始めた。米国やブラジルでは、既にガソリンに 20~30 % のエタノールを混合している。そこで、アカシア材をバイオエタノール生産のために利用できるための開発研究としてキシログルカナーゼを発現するアカシアマンギウムを作出した。リグノセルロース植物体の糖化には、脱リグニンなどの前処理が必要と考えられてきた。Kaida らは、成長しつつある細胞壁からキシログルカンを構成的に除くと、セルロース繊維の糖化性がほぼ 2 倍程度に上がることをポプラとファルカタで報告した (Mol Plant, 2009, in press; J Wood Sci, 2009, in press)。アカシアでは、キシログルカナーゼを極めて強く発現する 2 クローンと弱いながらも発現する数クローンが得られている。今後は、組換えアカシアの野外試験にもつなげて行きたい。
一方 Suzuki らは、アカシアマンギウムの遺伝子発現データベース(EST データベース)を構築した(J Wood Sci, 投稿準備中)。さらに、ミッション専攻研究員の Rahman らは、アカシアマンギウムとアカシアクラシカルパの高効率形質転換系の構築を進めている。
本研究は国際共同研究から、当研究所の国際共同利用を目指したものであるところに特色がある。林准教授のグループはインドネシア科学院 (LIPI) バイオテクノロジー研究所と共同で進めてきた。一方梅澤教授らのグループは、アカシア樹種の組織培養やゲノム解析などの基礎的研究を続けてきた。そこで、本ミッション研究により両グループの研究の融合を進めたいと考えている。
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2009年10月9日作成