Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2016(平成28)年度 生存圏科学 萌芽研究 13

研究課題

水稲におけるセシウム吸収・分配機構の解明

研究組織

代表者 藤村恵人(農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター)
共同研究者 上田義勝(京都大学生存圏研究所)
江口哲也(農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター)
杉山暁史(京都大学生存圏研究所)

研究概要

2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故により福島県をはじめ東日本の広範囲に放射性物質が拡散・沈着し、農業に大きな影響を与えた。拡散した核種の中でも半減期が長く、植物が比較的吸収しやすい放射性セシウムによる農地や農作物汚染が農業現場では問題となっている。放射性セシウムが沈着した地域では農作物への吸収抑制対策として、通常施肥に上乗せしたカリウム施用が行われている。物理的減衰によって土壌中の放射性セシウム濃度が低下していることなどから、汚染程度に応じて上乗せカリウム施用の中止や施用量の削減が求められているが、その際、玄米の放射性セシウム濃度が基準値を超過しないように適切なカリウム施用量とする必要がある。

水稲地上部(茎・葉・穂)の放射性セシウムの大部分は出穂期までに植物体に蓄積されるが、その蓄積速度には年次や水田間での変異が大きい。また、出穂後は、蓄積がほとんど認められない事例と継続して蓄積される事例の両方が報告されている。これら変動の主要因は土壌中の可給態カリウム濃度(植物が利用可能なカリウム濃度、交換性カリウム含量や土壌溶液中カリウム濃度がその指標となる)と植物のカリウム含量であると推察した。なお、可給態カリウム濃度は水稲による吸収や水田からの溶脱により栽培期間中に大きく変動するが、施肥によりある程度の制御が可能である。

本研究は地上部へのセシウム蓄積を効率よく抑制できるカリウム施用方法を提言することを目標に、生育期間中の土壌可給態カリウム濃度の推移と地上部へのカリウムとセシウム蓄積との関係を解析する。具体的には、カリウム施用方法が異なる条件において水稲をポットで栽培し、生育時期毎に地上部のセシウムとカリウムの蓄積量、土壌の可給態カリウム濃度を調査する。

藤村恵人: 2016(平成28)年度生存圏科学萌芽研究 図
図 1. 水稲のポット栽培試験

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2016年8月3日作成

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