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2016(平成28) 年度 生存圏科学 萌芽研究 11

更新日: 2016/09/06

研究課題

マイクロ波照射下でのプロトンリレーを用いた、水分解による水素生成の促進

研究組織

 代表者 椿俊太郎(東京工業大学物質理工学院)
 共同研究者 三谷友彦(京都大学生存圏研究所)
上田忠治(高知大学農林海洋科学部)
Jie Zhang(Monash University)

研究概要

水素は次世代エネルギーとして期待されるだけでなく、バイオマス由来化合物の水素化によるドロップインディーゼルなど炭化水素燃料の生産に重要である。古くから水の電気分解によって水素を得る方法は幅広く用いられてきたが、効率が低く実用的な燃料生産には不適である。そこで、本研究ではマイクロ波照射下において水中のプロトンがプロトンリレー現象によって高速に移動する現象を利用して(図1, 2)[1, 2]、高効率に水素を発生することができる反応を開発する。

また、水素発生反応の開発と並行して、反応系の誘電特性を解析する。物質のマイクロ波吸収は、被照射物の誘電特性に大きく依存する。触媒、電極および反応系の誘電特性は水分解反応速度に大きく影響するものと考えられる。そこで、同軸プローブ法を用いて、反応系(触媒・溶媒など)の複素誘電率を測定し、これらの誘電特性からマイクロ波吸収に重要な因子を明らかにする。得られた結果は随時の水素生成反応にフィードバックし、マイクロ波を用いた水素発生効率の向上につなげる。

椿俊太郎: 2016(平成28)年度生存圏科学萌芽研究 図 1
図 1. 水素結合ネットワークを介したプロトンリレーによるプロトンの高速移動の模式図

椿俊太郎: 2016(平成28)年度生存圏科学萌芽研究 図 2
図 2. カラギーナン(硫酸化ガラクタン)の対イオンおよび硫酸化度に依存した誘電損失 [2]

参考文献

[1] Tsubaki, S., and Mitani, T., et al., Carbohydrate Polymers, 2014, 102, 192–197.
[2] Tsubaki, S., Ueda, T., and Mitani T., Carbohydrate Polymers, 2015, 115, 78–87.

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2016年8月3日作成,2016年9月6日更新

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