Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2016(平成28)年度 生存圏科学 萌芽研究 3

研究課題

食品利用を見据えた食品製造副産物のナノ粉砕技術の開発

研究組織

代表者 阿部賢太郎(京都大学生存圏研究所)
共同研究者 河村幸雄(京都女子大学家政学部)

研究概要

本研究の目的は、食品の製造工程で大量に生ずる様々な食品製造副産物を再度食品へと利用するために、安全かつ簡便に粉砕加工する技術を開発することである。現在、食品製造副産物の大半は、飼料・肥料化されるか廃棄物として焼却・埋め立てされている。本研究では、そのような食品由来の廃棄物量を低減させ、新しい食品利用への展開を目指す。

食品副産物の大半を占める植物細胞壁をナノレベルにまで粉砕することにより、細胞壁中のペクチンやヘミセルロースだけでなくセルロースミクロフィブリル(図)が均質に分散した新たな食品繊維としての活用が期待できる。そのためには安全かつ簡便(低コスト)な粉砕技術が必要であり、本研究ではクエン酸や酵素を用いた前処理とした食品副産物の粉砕技術を検討し、その成分や性質について分析を行う。

食品副産物をそのまま食品へ還元しても食感は悪く、また増粘剤としての利用も難しい。そこで食品副産物を構成する食品副産物を微粉砕し、舌触りの良い滑らかな食感に加工する必要がある。上記セルロースを新たな増粘剤および食物繊維として利用するためにも、細胞壁を構築するナノサイズのセルロースミクロフィブリルを均一に分散させる必要がある。そのため、食品副産物の高度な粉砕技術が求められるが、強固な多糖類ネットワークを有する植物細胞壁をそのまま均質に粉砕することは難しい。そこで、本研究では食への安全性を考慮し、クエン酸や多糖分解酵素を用いた前処理により細胞壁中のペクチンネットワークを切断し、簡便な粉砕処理を検討する。簡便な粉砕は低コスト化へとつながり、これまでの廃棄コストを粉砕処理に費やすことで、食品製造工場内で副産物を有効活用できると考える。このような取り組みは従来になく、またナノサイズのセルロースの食品利用は非常に新しい分野の開拓に繋がると期待する。なお、ナノサイズのセルロース自身の食の安全性については、現在別の研究にて鋭意調査中である。

阿部賢太郎: 2016(平成28)年度生存圏科学萌芽研究 図
図. ぶどうの皮に含まれるセルロースミクロフィブリル

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2016年8月4日作成

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