Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2015(平成27) 年度 生存圏科学 萌芽研究 14

研究課題

超並列粒子シミュレーションによる衛星システム・プラズマ波動現象相互干渉の研究

研究組織

 代表者 三宅洋平(神戸大学大学院システム情報学研究科)
 共同研究者 加藤雄人(東北大学大学院理学研究科)
小路真史(名古屋大学太陽地球環境研究所)
大村善治(京都大学生存圏研究所)

研究概要

本研究の目標は、最先端の計算機シミュレーション技術を応用し、宇宙圏における人工衛星システムと、自然プラズマ過程としてのプラズマ波動現象間の相互干渉過程を明らかにすることである。実用衛星による宇宙環境利用技術の急速な発展に伴い、地球近傍の宇宙空間は既に人類にとって重要な活動領域の一つとなっている。今後も宇宙圏において人類が持続的な発展を遂げるためには、衛星などの宇宙機システムが、太陽活動の変動等に起因してダイナミックに変化する宇宙電磁プラズマ環境からどのような影響を受けるかを定量的に評価する必要がある。

特に近年、注目が集まっている宇宙圏領域として、相対論的高エネルギー電子が存在することが知られる地球放射線帯が挙げられる。我が国で打ち上げに向けた準備が進められているジオスペース探査衛星ERGのほか、NASAにより打ち上げが実施されたVan Allen Probes計画など、放射線帯探査が世界的に活発となっているが、その中で相対論的高エネルギー電子生成の鍵となるプラズマ波動・コーラス放射の観測時に衛星電位が大きく変動することが報告されている。これは、宇宙圏におけるプラズマ波動現象が宇宙機システム自体に影響を及ぼすことを示唆しており、科学衛星観測による宇宙プラズマ環境診断の信頼性を担保する上でも留意すべき現象である。

研究には、電波科学計算機実験装置(AKDK)を初めとする大規模計算機を用いた超並列プラズマ粒子シミュレーションを用いる。Particle-In-Cell法に基づく粒子シミュレーションは、現実の放射線帯内部で起きるミクロな非線形波動粒子相互作用や、プラズマ環境-人工衛星固体表面間の相互作用を様々な方面から捉えることが可能である。これらのコードには計算機科学分野との共同研究によって開発された先進的な動的負荷分散機構OhHelpが適用されており、10000並列オーダーの高効率演算が可能となっている。

本課題では、地球放射線帯におけるプラズマ波動現象が、衛星システムにどのような影響を与えるかに特に着目する。コーラス放射や電磁イオンサイクロトロン波など、衛星近傍空間スケールより十分に大きい波長を持つプラズマ波動の変動電磁界をモデル化して衛星プラズマ環境全粒子シミュレーションに取り込むことで、衛星筐体や波動観測プローブとの相互作用過程を明らかにする。また地球放射線帯で観測される高エネルギー電子とプロトンに関する大規模な粒子・流体ハイブリッドシミュレーションを実施し、上述した非線形プラズマ波動自体の特性も明らかにする。これにより、長年の研究で得られた地球近傍宇宙プラズマ環境に関する理学的な成果を、人類活動に結び付け、生存圏科学の発展に資する知見を創出することを最終目標とする。

三宅洋平: 2015(平成27)年度生存圏科学萌芽研究 図
図:シミュレーションによるプラズマ波動と衛星搭載電界アンテナの相互作用解析

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2015年7月24日作成

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