Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2015(平成27) 年度 生存圏科学 萌芽研究 11

研究課題

地盤内における微細気泡移動モデルの構築

研究組織

 代表者 濱本昌一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)
 共同研究者 上田義勝(京都大学生存圏研究所)
二瓶直登(東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究概要

近年、微細気泡(ファインバブル、FB)の地盤環境工学分野における利用が注目されている。FBは気泡径がおよそ数十nm以上数十µm以下の微細気泡で、表面積が大きく、液体中の滞留時間も長くなるため分散性に優れ、気液界面での高い物理・化学的吸着効果を有する。これらFBの有する理化学性を活用した土壌浄化やCO2地中中和処理が検討されている。土壌浄化やCO2地中中和処理にFBを利用する際には、FBの地盤内挙動の理解が必要不可欠である。本研究では、室内試験から地盤内のFB挙動特性を把握し、FBの地盤内移動モデルを構築する。

研究目標を達成するため、各項目について下記の点について検討を行う。

1. 微細気泡の理化学性把握および固相・液相・汚染物質への物質分配機構の解明

溶液のpHやECに強く影響を受けるO2態/CO2態FBの界面特性(荷電特性・合体成長/消失特性)、粒径分布、持続・安定特性について調べる。さらに、FBの液相への溶解特性と、溶存態FB(溶存ガス類、CO32−やHCO3)と共存イオン類間での化学反応(炭酸塩化・中和化)について、異なるpHやEC条件および共存イオン種(Ca2+やMg2+など各種陽イオン)条件で調べる。また、室内バッチ試験からFBの土粒子や汚染物質への吸着・脱離実験を行い、分配係数、脱離/吸着係数などの物理パラメータを同定する。汚染物質としては、油汚染を想定し炭化水素系化合物であり石油類と類似の性質を持つペンタノールを使用する。

2. 微細気泡移動機構の解明と物質移動パラメータ予測モデルの提案

室内カラム実験を行い、O2態/CO2態FB、汚染物質担体FB、溶存態FBの流出特性を調べる。1.の項目と同様に、これらFB類の流出には地盤のpH、ECなどの各種因子が影響を及ぼすことから、これらの因子の寄与を定量的に区別できるよう実験を計画する。O2態FBを用いたカラム実験は、汚染物質を含まない土壌(ブランク)と、汚染物質を混入した模擬汚染土壌の2種類を用いて行い、両者を比較することで気泡態FBや溶存態FB(溶存酸素)に加えFB担体汚染物質移動を評価する。CO2態FBを用いたカラム実験では、参照用試料としての砂岩に加え石灰岩を用いた通水試験を実施し、気泡態および溶存態(溶存二酸化炭素、CO32−やHCO3)FB、その他イオン種の流出特性を把握する。各室内実験で得られたFBの流出特性から、FBの地盤内移動を規定する物質移動パラメータ(分散係数、捕捉係数など)を決定し、地盤の物理特性(間隙率・粒径分布等)やFB特性(気泡径分布・気泡濃度)などに基づくパラメータ予測モデルの提案を行なう。

3. 気・液・化学連成場での地盤内の微細気泡移動モデルの構築

FBの地盤内移動モデルは、地盤内のコロイド態物質移動に関する支配方程式を修正する。具体的には、液相に存在するFBの移動を、土壌固相への分配(捕捉・分配係数)を考慮した移流・分散として記述し、飽和浸透方程式を組み合わせる。ここで、「1.」で得られる物質分配機構、「2.」で提案されるFBの物質移動パラメータの予測式が、移動モデルに組み込まれる。さらに、FBと汚染物質の相互作用(吸着)を考慮して、FB担体汚染物質の土壌内移動モデルの構築も行なう。また、化学反応連成シミュレータであるPHREEQCを上記FB移動モデルにカップリングさせることで、気泡態FBの液相への溶解、さらに溶存態FBと液相中イオンとの化学反応を考慮した気・液・化学連成場での地盤内の微細気泡移動モデルを開発する。

濱本昌一郎: 2015(平成27)年度生存圏科学萌芽研究 図

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2015年8月5日作成

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