Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2015(平成27) 年度 生存圏科学 萌芽研究 7

研究課題

森林害虫共生微生物相における協調的リグニン分解機構の解明

研究組織

 代表者 髙須賀太一(北海道大学農学研究院)
 共同研究者 飛松裕基(京都大学生存圏研究所)
千明(北海道大学農学研究院)

研究概要

陸上最大のバイオマスである木質は、将来枯渇が予想される化石燃料の代替資源の1つとして注目されており、その利用技術の確立は持続的な人間・環境社会を営む上で欠かせない喫緊の課題である。しかしながら、木質バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニンからなる複雑な高次元構造をしており、特に多糖利用に主眼を置くバイオマス利用においては、難分解性芳香族高分子であるリグニンの分解プロセスがボトルネックとなっている。すなわち、リグニン分解を高効率化させることが、バイオマス利用の実現に不可欠である。

自然界では、主に菌類がリグニンの生分解を担っていると考えられており、菌類が生産するリグニン分解酵素、およびその関連酵素について解明が進み、それらをバイオマス変換技術へと応用する試みもなされてきている。一方、最近の報告では、バクテリアの一部もリグニン生分解に関わることが提唱されており、その分解機構は多様かつ菌類とは異なる事が示されている(Brown et al., ACS Chem Biol. 2012)。実際に、申請者は、リグニン前駆体や高分子リグニンを自身では代謝出来ない森林害虫であるキバチ(Sirex noctilio)の共生細菌叢に、リグニン分解活性を持つ酵素群を生産するバクテリアを発見している(Takasuka et al., Sci Rep. 2013, Adam et al., Appl Environ Micro. 2014)。これらのことから、自然界では、菌類およびバクテリアの両方が協調的に木質分解に関わっている可能性が考えられるが、これまでに木質共生微生物相を対象とした研究例はほとんどない。

本研究では、 森林害虫キバチおよび樹皮下甲虫(Dendroctonus frontalis)に共生する菌類・バクテリアを含めた微生物相によるリグニン分解機構の解明と、そのバイオマス変換技術への応用に向けた基盤構築を目指す。共生細菌叢の分泌タンパク質を網羅的に解析し、リグニン分解に関与している新規タンパク質群の同定と機能解析を行う。とりわけ各々の微生物相で生産された酵素群の協調的な働きを明らかにする事で、共生環境におけるリグニン生分解に関わる分子機構の解明及びそれら酵素群のシナジー効果を利用した効率的リグニン分解技術の確立を目指す。

一つ前のページへもどる
2015年8月17日作成

一つ前のページへもどる