Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2014(平成26) 年度 生存圏科学 萌芽研究 15

研究課題

食物アレルギー問題を解決するため、電磁波利用の新たな可能性を検討する

研究組織

 代表者 山崎正幸 (京都大学白眉センター(再生医科学研究所))
 共同研究者 三谷友彦 (京都大学生存圏研究所)
塩尻かおり (京都大学生態学研究センター)

研究概要

背景

卵、牛乳、小麦、ソバ、ピーナッツなどに代表される食物アレルギーは、我々の健康かつ快適な生活をたやすく危機に陥れることのできる、現代の大問題である。その発症は、多少の議論はあるが、ほとんどの場合タンパク質を原因としている。より厳密に言うならば、タンパク質の高次構造における不安定な箇所にその原因がある。例えば、卵白を試験管内で疑似消化したもの/熱をかけ調理したものについてそのアレルゲン性が低減するのは、その不安定なエピトープが分解される/互いに凝集することで隠される現象を観察しているに他ならない。

目的

食品において興味深いのは、保存中にその性質が変化することである。卵白では、60 % を占めるタンパク質であるオボアルブミンにおいてアミノ酸のラセミ化が進行した結果、その全体構造が安定化する。そして特筆すべきは、そのアレルゲン性が低減する。残念ながらこの化学反応は非常に遅いため、食品としての品質劣化を伴い、現状では卵アレルギーの解決策とならない。では、食品の腐敗などその欠点を促進することなく、また熱調理を伴わず材料としての物性を保持したまま、アレルギーを引き起こすタンパク質の性質変化のみを促進する方法はないか?また、その方法論は一般的に食物アレルギー問題解決のために応用できないか?

本研究で、我々は生存圏にあふれるエネルギーの中から、電磁波の可能性に着目する。電磁波ならば、食品を完全なかたちのまま深部まで処理することが可能となる。すでに我々は予備的実験として、鶏卵の内部環境であるアルカリ条件では、熱とは非依存的に電磁波の誘電率が高い現象を観察している。また、電磁波が熱非依存的にタンパク質の折り畳みに影響を与えるという報告が存在することは本研究の成功に心強い。電磁波利用と食物アレルギー対策の未来を同時に切り開く、分野横断型萌芽的研究である。

目標

最終の夢は、ボタンを押せばその食品のアレルゲン性を低減できる電子レンジを創ることにある。アレルギーを引き起こすタンパク質自体を食品から除去し生存環境と対峙しない方策は、真の問題解決へ向かわない。遺伝子操作を必要とせず、食品の栄養価も変えない。処理を行った食品は、アレルギー免疫寛容療法に役立つ。そんな夢のデバイスを創る為の第一歩となる情報を果敢に見出すため、卵、牛乳、小麦、ソバ、ピーナッツに含まれるタンパク質、素材そのもの、植物自体に対し、本手法の有効性を広くスクリーニングする一年とする。

山崎正幸: 2014(平成26)年度 生存圏科学萌芽研究 図

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2014年7月28日作成

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