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2014(平成26) 年度 生存圏科学 萌芽研究 14

更新日: 2017/09/23

研究課題

隣接した2基の1.3GHzウィンドプロファイラレーダーのデータ比較を中心とした下層風の局地的な空間分布と積乱雲および降雨発生の関係調査

研究組織

 代表者 中城智之 (福井工業大学)
 共同研究者 山本真之 (京都大学生存圏研究所)
橋口浩之 (京都大学生存圏研究所)

研究概要

近年、豪雨の頻度と被害の大きさが増加傾向にあると言われており、豪雨予測を目的とした様々な研究が行われている。いわゆる天気予報の分野では、雲物理や大気境界層のパラメタリゼーション精度向上を含む、より高い時空間分解能の数値予報について精力的な研究が行われている。一方、GPS 受信機の観測網を用いた水蒸気量やマルチパラメータ(MP)気象レーダーによる降水粒子の観測から、積乱雲発生の早期検出を目的とする研究が行われている。

将来的には、高解像度の数値モデルに様々な観測データを同化させた豪雨予測がひとつの有力な手段となっていくと予想されるが、重要な観測データの一つとして局地的な風の観測データが挙げられる。豪雨の原因となる積乱雲の発生は、下層大気における水平風の収束を伴う。その意味で、前線近傍や地形の効果で生じる下層風の局地的な空間分布を得ることは、積乱雲発生の早期検出および高解像度数値モデルの精度向上に極めて重要である。下層の水平風の収束を観測する手段として、地上に気象観測装置を稠密に配置する事が検討されているが、地上風のみの観測に限られる。そのため、1.3 GHz 帯ウィンドプロファイラレーダー(以下、WPR)による下層風の高度分布の観測は、積乱雲発生をより高い精度で早期検出するために役立つ風の観測データとなる。

WPR は気象庁の WINDAS ネットワークとして全国 33 カ所に展開され、日々の天気予報に活かされているが、現時点ではその配置密度から、下層風の局地的な空間分布の検討には対応していない。しかしながら、福井県には福井平野中央部に位置する WINDAS 福井局の北方 24 km という近距離の海岸沿いに同型の WPR (福井工大 WPR)が設置されている(図)。両者の位置関係は、福井平野の局地循環の特徴把握に適切であるだけでなく、両者の距離が積乱雲の典型的な空間規模より若干大きい事から積乱雲の発達に関連する下層風の収束の関係調査にも適している。

本研究課題では、福井工大 WPR と WINDAS 福井局で観測された水平風を比較することにより、福井平野の局地循環の特徴を把握すると同時に、積乱雲システおよび降雨の発生に関連する水平風収束の検出を行うことを目的とする。

中城智之: 2014(平成26)年度 生存圏科学萌芽研究 図図: 福井工大WPRとWINDAS福井局の位置関係

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2014年8月8日作成

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