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2013(平成25) 年度 生存圏科学 萌芽研究 8

更新日: 2017/09/23

研究課題

赤道大気レーダーとGPS受信機群を用いたVHFレーダーによるプラズマバブル検出の衛星航法補強システムに対する効果の検証

研究組織

 代表者 齋藤享 (独立行政法人電子航法研究所)
 共同研究者 吉原貴之 (独立行政法人電子航法研究所)
大塚雄一 (名古屋大学太陽地球環境研究所)
衛 (京都大学生存圏研究所)

研究概要

衛星航法において、電離圏プラズマの存在は最大の測位誤差要因である。近年衛星航法の航空利用が進められているが、安全性が極めて重視される航空航法においては、飛行フェーズに対応した安全性を担保するための補強システムが用いられている。これらのシステムでは電離圏異常も検知するように設計されているが、GNSS 衛星信号そのものを用いて電離圏異常を検出する従来の方法では、検出失敗の確率を十分小さくすることが難しいためにより高度な利用が妨げられている。磁気低緯度地域では、プラズマバブルが頻繁に発生するため、電離圏異常の確実な検出は大きな課題である。

本研究では、航空機の着陸誘導に用いられる衛星航法補強システムの一つである GBAS (Ground-based augmentation system)において、これまでにプラズマバブル研究に用いられてきた VHF 帯の後方散乱レーダーをプラズマバブル検出に用いることを提案する。VHF レーダーの多ビーム観測によって明らかになるプラズマバブルの磁力線直交面内 2 次元像を用い、衛星-GPS 受信機間の伝播路が検出されたプラズマバブルを横切る場合、その衛星信号はプラズマバブルの影響を受けていると推定し、GBAS による補正対象から外す(図 1)。これにより、航空機がプラズマバブルの影響による大きな誤差を持ちうる衛星信号を測位演算に用いる危険性を排除できる。

齋藤享: 20123(平成25)年度 生存圏科学萌芽研究 図 1図 1 VHFレーダーによるプラズマバブル検出と衛星信号の使用可否判断

本研究で提案するプラズマバブル検出の衛星航法に対する効果を実証するために、赤道大気レーダーをプラズマバブル検出用 VHF レーダーとして用い、赤道大気レーダー周辺及びバンコクの GNSS 受信機群を GBAS 基準局及び航空機に見立てた実験を行う(図 2)。レーダーによるプラズマバブル検出の効果を確認するために、レーダー検出あり・なしの場合において仮想航空機受信機の測位計算を行い、残留測位誤差を比較評価する。また、名古屋大学が赤道大気観測所において運用する大気光全天イメージャの観測データを用いてプラズマバブルの存在を独立に確認する。以上により、VHF レーダーによるプラズマバブル検出の GBAS における補正誤差低減効果を実証する。

齋藤享: 20123(平成25)年度 生存圏科学萌芽研究 図 2図 2 観測の概要

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2013年7月23日作成

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