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2012(平成24) 年度 生存圏科学 萌芽研究 7

更新日: 2017/09/23

研究課題

熱帯泥炭湿地林の持続的な利用に向けた泥炭地水文モデルの開発

研究組織

 代表者 甲山治 (京都大学東南アジア研究所)
 共同研究者 川井秀一 (京都大学生存圏研究所)
嶋村鉄也 (愛媛大学農学部)
伊藤雅行 (京都大学東南アジア研究所)
Kok-Boon Neoh (京都大学東南アジア研究所)

研究概要

熱帯地域における急速な熱帯雨林の開発の結果、本来不向きであった泥炭湿地林にも開発が進んでいる。熱帯における最後のフロンティアであったインドネシアの泥炭湿地林は大規模に皆伐され、アブラヤシ農園や林業プランテーションとなっている。泥炭湿地の開発には大規模な排水を必然的に伴い、乾燥化や土壌中に大量に蓄えられた有機物の分解、火災の頻発により、大量の二酸化炭素が大気中へ放出される。泥炭湿地の適切な管理は国際的にも重要な問題として認識されており、特に 1997 から 1998 年にかけての乾燥時(エルニーニョ年)の熱帯泥炭の焼失による炭素放出は全世界の化石燃料による放出の 13 から 40 % に相当した(Page et al. 2002, Nature)。泥炭湿地における火災の頻発は、プランテーション会社だけでなく、地域社会にとっても脅威を与えており、住民の生産と生活を阻害している。

このような泥炭地の劣化や火災に伴う炭素の大量排出を抑え、適切な保全や利用を検討するためには、現地のニーズに合わせた技術開発をする必要がある。本申請では、2009 年にインドネシアスマトラ島リアウ州の約 70.5 万ヘクタールの地域を対象としてユネスコに登録された、ギアムシアク・ブキットバトゥ生物圏保護区を研究対象地域とする。行政と地域住民、企業の協力関係構築に向けて、泥炭地を天然林、企業プランテーション、集落(住民プランテーション、水田、放棄地)に分けて土壌と水動態のモデリングを行う。試験対象とする泥炭湿地林サイトにおいて簡易のフラックスタワーを用いた気象・水文観測を行い、得られたデータを用いて微気象データからの水位変動解析を行うほか、対象流域内に試験小流域を設定して水収支解析を行う。同時に、自記連続式地下水位計を設置し地下水位の詳細なモニタリングを行い、降雨に対する水位の応答など詳細な時間変動を明らかにする。また、空間的な水移動を把握するために、面的に格子状に設定した多地点において、ピエゾメータやテンシオメータといった測器を用いて圧力水頭や全水頭の測定を 3 次元的に行う。

甲山治: 2012(平成24)年度 生存圏科学萌芽研究ギアムシアク・ブキットバトゥ生物圏保護区
中央の保護区コアゾーン(17.9万ha)、コアゾーンを囲む緩衝(Buffer)ゾーン(22.2万ha)、さらに外側を囲むように、遷移ゾーン(30.4万ha)が存在する。

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2012年7月11日作成

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