Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2011(平成23) 年度 生存圏科学 萌芽研究 9

研究課題

京都府由良川流域における森林から海までの栄養塩動態:森林生態系と沿岸生態系の連環解明に向けて

研究組織

 代表者 福島慶太郎 (京都大学フィールド科学教育研究センター)
 共同研究者 杉山淳司 (京都大学生存圏研究所)
吉岡崇仁 (京都大学フィールド科学教育研究センター)
徳地直子 (京都大学フィールド科学教育研究センター)
福崎康司 (京都大学農学研究科)
鈴木伸弥 (京都大学農学部)

研究概要

人間の生存基盤には多くの場合水が必要であり、河川流量の安定供給、適切な河川水質の確保が果たされなくてはならない。また近年、「森は海の恋人」と言われるように、森林生態系の存在が沿岸生態系の生産性を支え、両生態系間は河川を介して互いに関連し合っているという考え方が広まりつつある。日本では、河川上流の水源地域が森林に覆われており、下流に従って農地や耕作地、および市街地面積が増加する。すなわち、河川の流下過程において土地利用形態が大きく変化し、森林域から海岸域に至る間に人間活動の影響を強く受ける。したがって、人間の生活する流域の健全性や持続可能性を評価するために、森林生態系で形成される河川水質情報が、沿岸生態系に及ぶ流下過程でどのように改変されるかを詳細に把握することが求められる。

河川水質の中でも、無機栄養塩は森林・沿岸域の両生態系の生産性を支える重要な物質である。特に硝酸態窒素(NO3-N)は、両生態系において生物生産を制限する主要因であることが報告されている。それゆえ、森林の攪乱や人為の影響によって多量に NO3 が流出すると、富栄養化現象が生じて下流域の生態系機能を損なう。さらに飲用水に多量の NO3 が含まれていると人間の健康を脅かすことも知られており、流域単位で人間の生存圏保全を考えるためには重要な指標物質であるといえる。

そこで本研究は、京都府由良川流域を対象に、河川上流の森林域から農耕地・市街地を通過して丹後海に注ぐまでの NO3 濃度の時空間分布と、負荷源の特定を行い、流域の土地利用との関係を明らかにすることを目的とする。その際、NO3 濃度に加え、近年測定が可能となった NO3 の N と O の安定同位体比を指標として NO3 の起源推定を行い、流域内の各土地利用が流域全体の生態系機能に与える影響を評価する。また、由良川上流域には大野ダム湖が形成されており、ダム湖内での NO3 生成・消費過程を NO3 濃度と安定同位体によって明らかにするとともに、ダム湖での水質変性が下流域に与える影響も合わせて解析する。

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2011年8月3日作成

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