Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2010(平成22) 年度 生存圏科学 萌芽研究 10

研究課題

木質バイオマス燃焼灰からの新規 BDF 触媒の開発とその評価

研究組織

 代表者 西宮耕栄 (北海道立総合研究機構森林研究本部林産試験場)
 共同研究者 俊充 (京都大学生存圏研究所)

研究概要

2005 年の京都議定書の発効後、木質ペレットなどの木質バイオマス燃料が化石燃料の代替として注目されている。2005 年において、製材工場廃材から約 500 万トン、建設発生木材から約 460 万トンの木質バイオマスが発生しており、そのうち 20–30 % が燃料などのエネルギーとして利用されている。木質バイオマス燃料を燃焼すると数%程度の燃焼灰が発生し、その発生量は年間数万トンになると予測される。

現状では、これらの燃焼灰は主に産業廃棄物として処分されているが、その処分費用は小さくなく、木質バイオマスを活用している企業の経営を圧迫し、化石燃料系のボイラーなどからの転換が進まない原因になっている。このことから、木質バイオマスの利用拡大には燃焼灰の高度な利用方法を検討する必要がある。例えば、K、Ca などが含まれているため、バイオディーゼル燃料(BDF)製造時の触媒としても応用可能である。現状では BDF 製造時に NaOH や KOH などをアルカリ触媒として用いることが多く、それらの除去に大量の水が使用され、廃水処理にコストがかかり環境にも負担を強いている。それを改善するためにゼオライトなどを応用した固体触媒が検討されているが、その触媒効果が持続しないなどの問題がある。

そこで、アルカリ金属を含んでいる燃焼灰を成型し、BDF 製造時の固体触媒として用いることができれば、燃焼灰の問題と BDF 製造時の廃水処理の問題などの解決が可能である。そして、成型方法として、放電焼結法を用いれば、成型時の高い圧力などにより、重金属を燃焼灰に閉じこめる効果も期待できる。このような従来にない手法で燃焼灰からの BDF 製造時における新規触媒開発を行いその性能評価を行うことが本研究の目的である。

BDF 用の新規固体触媒の開発は、燃焼灰の処理コストの低減可能性や、木質バイオマスの利用拡大、ひいては生存圏における環境負荷低減や、地球温暖化防止に寄与することが期待される。また、BDF 製造時に発生する粗グリセリンを木質ペレットと混合することにより、燃料としての発熱量を増加させることも可能である。つまり、BDF 製造時に発生する粗グリセリンや、木質ペレット燃焼時に発生する燃焼灰を相互に利用することにより、それぞれの製造プロセスから発生する廃棄物を、お互いの製造プロセスに触媒あるいは添加剤として組み込みことで、廃棄物を生じることなく、性能向上を図ることが可能な、非常にユニークなゼロエミッションプロセスを構築することができ、それを完成させることが本研究の目標である。

西宮耕栄: 2010(平成22)年度 生存圏科学萌芽研究

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2010年7月30日作成

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